人気コミック、週刊誌、雑誌が読み放題!!
今なら新規会員様特別キャンペーン開催中!!
2週間71円で全て読み放題!!
ハイキュー!! 第279話 『愛』
尾白アランによる宮兄弟の回想。
小学5年のアランはすでに恵まれた体格だった。
元全日本セッターの犬畑昌彦さんのジュニアバレーボール教室に参加したアラン。
「でかい」
「でかいな」
そんな声にはもう慣れっこだった。
が、いつもと違う
「かっこええな…!」
「ええな」という背後からの声に振り向いてみると、
羨望の眼差しでそう呟いたのは、1つ下の宮兄弟だった。
(そっちかい)
アラン、心のツッ込み。
改名しようかな、
バアちゃんが悲しむ、と真剣に話す宮兄弟に
(アホか)と背を向けるアラン。
宮兄弟の話はまだ続く。
「…!サム…!!」
「オサムのサム…!!」
侑の閃きに、
「じゃあ侑はツムか」と治。
(いやツムは変やろ)
さらなるアランの心のツッ込みだったが、
「!かっこええな…!」と目を輝かせる侑。
「なんでやねん!!」
思わず振り向いて大声でツッ込むアラン。
突然のことに、ビクッと驚く宮兄弟。
宮兄弟
その名前が有名になってくるより前から俺は双子を知っとった
教室が始まり、犬畑さんの説明中、
アランの後ろに座っている宮兄弟は、
「セッターか~スパイカー見たかったな」とひそひそ話。
(失礼な双子やな)
と心でツッ込み続けるアラン。
治は侑に、「アホやな」と話す。
「セッターは一番上手い奴がやるクールなポジションなんやで」
だが、侑に
「じゃあサム セッターがええの?」と聞かれるも、
「いやスパイク打ちたい」とアッサリ。
(じゃあ何で言うたんや)とアラン。
練習が始り、犬畑さんの上げたボールを打った侑は、
「…なんやむっちゃ上手く打てた」
と治に話す。
「な」
と治も同意。
「ビビらんと入っといで」
「おっちゃんが打たしたる!」
ふわっとボールを投げる犬畑さん。
ボッ
上手くスパイクを決める少年。
それを見て侑は思った。
打たしたる
「………セッター…」
「かっこエエな…!」
季節は巡り、宮兄弟は中学生に。
稲荷崎グループの合同合宿で宮兄弟と再会したアラン。
双子は「上手い」
よりか「強い」感じで
闘争心が人一倍旺盛
どちらかと言えば
治の方が一枚上手で
「治に挑む侑」がよくある構図。
ある日、監督から「セッターやってみ」と指名された治。
「セッターは一番上手い奴がやるポジションやし しゃあないなー」と治。
「うぐぬ~~!!」と悔しがる治。
治も侑も負けず嫌いやったけど
一人思案しながら黙々とトスの練習をする侑。
侑の方は“負けず嫌い”で収まらない何かがあるような気がした
しばらくして、
「えーじゃあ今日」
「セッターに侑」
目を見開く侑。
治は
「侑知っとるか?色んなポジションやった方が上手くなんねんで」と言い、
「黙って悔しがれクソサム!!」
とキレる侑。
侑は見る度にセットの腕を上げとった
とくに治とのコンビは絶品で
「宮兄弟」は恐れられる様になっていった
試合に負けた宮兄弟の野狐(やこ)中学。
「…俺」
「今日めっちゃ調子良かってん」
「ボールが手に収まる感じ離れる感じ エエ感触で」
「ブロックも良く見えた」
爪の手入れをしながら、そう話す侑。
「俺のセットに不満あった??」
チームメイトに凄む。
「…いや別にー」
チームメイトの言葉に
「じゃあ何で決められへんの??」と威圧的な侑。
チームメイトたちは侑に不満や陰口。
それを聞いていた治。
「ツム 嫌われとるで」
治の言葉に、
「…で?」と平然と食事を続ける侑。
絶句した治は、決意する。
「…俺は絶対お前みたいにならんと心に決めた」
「人に優しく生きるんや」
「何言うてんねん」と侑。
小っこい頃から知っとる双子やったけど
侑は時々恐いと思った
他人に・仲間に嫌われるってしんどいやんか
稲荷崎高校に進学した宮兄弟のある試合後…。
「治 今日アカンかったなー!」
調子が悪かった治。
みんなに励まされるも…。
「このポンコツ」と侑。
あのセッティングでスパイク決められんポンコツは
さっさとポジション空けえや
そう言って治に背を向ける侑。
言葉のない治。
銀島は
「侑 言い方あるやろ」
「治が一番身に染みてんねやからー」
と治を庇う。
が、
銀島の横を、シュッと何かが過ぎる。
「この」
「暴言クソブターッ!!!!」
ドーン!!
治が侑に後ろから跳び蹴り!!
驚くみんな。
素早くスマホを取り出す角名。
侑の胸ぐらを掴んで治は激怒!
てめえが絶好調でも
こっちがそうやない時も
あんじゃろがい
「なんかダメ」な時は
「なんかダメ」なんじゃ
クソボケがあ!!
侑クンは失敗しないんですかアー!?
ア゛ァ゛ー!?
「身も蓋も無い」とアラン。
「ポンコツにポンコツ言うて何が悪い!!」と侑は言い返すが、
「人格ポンコツ野郎に言われたないんじゃ!!」と治。
「宮兄弟のけんかや!」
もはや名物と化した喧嘩に、他の部も体育館に見物に!
二人で職員室で叱られる…。
傷だらけで寮のベッドで寝転ぶ二人。
やがて
「……… ………」
「…ウイイレやるか?」
「……… ………」
「……… ………」
「やる」
仲直り。
多分
侑の一番恵まれとる点は
体格より色んな能力より
“治”なんやと思う
どんなに”他人”が追いつけんスピードで突っ走ったって
互いが互いに絶対ついてくる
兄弟(それ)に苛立つ事もあるんやろうけど
奴らはきっと競うだけ強くなっていく
「ユースとはやりよるなあツム」
治の言葉に、
「悔しがれサム!!」と苛つく侑。
「悔しいわアホ」と治。
だが、続けて
「あんまり悔しいと思てへん事が」
「悔しい」と。
「ツムはがんばっとるからな」
その言葉に、
「何やねん自分ががんばってないとでも言うんちゃうやろな」と納得できない侑。
治はさらに
「多分がんばってる+ちょっと頭オカシイ奴が呼ばれたんとちゃうかなと思う」と。
「ア゛!?」とキレる侑。
「俺とお前実力は変わらんけど」
治が言いかけて
「いいや俺の方が」
侑はすかさず言葉を被せるが、それをさらに遮って
「一通り聞けや」と声が大きくなる治。
言いたい事は…、
「ツムの方が俺よりちょびっとだけバレーボール愛しとるからな」
ピーッ
笛が鳴り、日向に替わった山口のサーブは、
アランの手元でさらに延びる。
(イイコース…!)
ボールはかろうじて烏野に返され、烏野のチャンスボール!
同時多発位置攻撃!
だが、赤木が詰まりながらもレシーブ。
宮侑がフォローに向かうも、アンダーで上げる低い位置。
だが、宮侑は大きく踏み出し、低いボールの下にするり、と入ると、
宮治のスパイクが決まり、宮侑は満足そうな笑顔に。
稲荷崎応援団の歓声の中、拍手を贈る烏養。
…今の素晴らしいセットアップに
会場のどれくらいが気付いただろうか
普通ならアンダーでレフトに高く上げるであろう場面
苦しい体勢・状況からでもオーバーを選択し
ブロックを
Aパスが返った時と同じだけ
引きつけて見せる
これがユースのセッターか
「アイーーーーー」
手を合わせる宮兄弟。
「…ほんとよくあの体勢から上げるよねえ」と角名。
「アンダーでいいじゃんアレは」
角名の言葉に、宮侑は答える。
「セッターは「セット」するんが仕事やで?」
「適切な位置にボールをセッティングするんや」
これに対して「…で?」と聞き返す角名。
「アンダーは腕2本」
「オーバーは指10本」
「よりいっぱいのモンで支えたんねん」
「セッターやもん」
晴れやかに話す宮侑。
稲荷崎の監督も拍手。
(これこそ宮侑)とユースの監督。
お調子者であったり
時に勝ち気で高圧的でありながら
スパイカーに対して
誰より真摯で献身的だ
「セッターの鏡だね」と研磨。
「でも俺には無理だからね」と牽制。
あんな上げ辛いボールに
あんな素早く滑り込む反応もスピードも
あんな低い体勢で
身体を安定させる筋力も
さらにそこから
ドンピシャでセットする技術も無いからね
山口に替わりコートに入る日向。
すると、
「ー俺も」と影山の声。
「ここに来れてよかった」