第41話 胡蝶しのぶ 
扉絵 蓮の花と葉の浮かぶ水面につま先で立つしのぶの後姿 
煽り 後ろ姿はまだ少女… 

本文煽り 累の恐怖、家族にも… 

森の中、斬られた頭を首の上に乗せて押さえながら走る姉蜘蛛 
姉蜘蛛(しくじった しくじった 『私だけは』今までしくじったことなかったのに 
この『家族ごっこ』を……!!) 

冷や汗を浮かべ、青い顔で走る姉蜘蛛 
姉蜘蛛(家族はみんな寄せ集めだ 血の繋がりなんかない 鬼狩りが怖くて仲間が欲しかった 
能力は全部 累のもの 私たちは弱い鬼だったから累の能力を分けてもらった 
累は『あの方』のお気に入りだったから そういう事も許されていた 
ここに来たらまず一番に顔を変えなければならない 累に似せるために顔を捨てる) 

姉蜘蛛の本当の姿は、黒髪のおかっぱ頭につり目だったのが、今の白く長い髪に大きな瞳に変えられた 
姉蜘蛛(母親役の女は子供の鬼だった) 
母蜘蛛は姿を変えられる前は、黒髪をおさげに二つ結んだ髪の女の子の鬼だった 
姉蜘蛛(最初の頃はまだ人間だった時の記憶があってよく泣いていた 
当然 母親のふりも下手だった 顔や体の変形もうまくできなくて毎日叱責された) 

累の前で地面に座り、叱責され俯く母蜘蛛の姿を思い浮かべる姉蜘蛛 
姉蜘蛛(累の意味不明な家族ごっこの要求や命令に従わない者は 
切り刻まれたり知能を奪われたり 吊るされて日光に当てられる) 

蜘蛛の巣にかかってしまったモンシロチョウとトンボの姿を思い浮かべる姉蜘蛛 
姉蜘蛛(私は自分さえよければいい アイツらは馬鹿だけど私は違う それなのにしくじった) 
少し前、累から蜘蛛の糸の罰を与えられる前のことを思い出す姉蜘蛛 

姉蜘蛛「累… 累!! 母さんがやられた 多分兄さんも…… 
どうするの? 鬼狩りがそこまで来てる どんどん集まってる」 

必死に訴えかける姉蜘蛛の言葉がまるで聞こえないように、森のどこかを見ている累 
姉蜘蛛「ねぇ ねぇ!! ……」 
青ざめる姉蜘蛛、顔が変えられた後の今のものから、元の顔に少し戻りかける 
顔は向けず、累の視線だけが姉蜘蛛に向けられた 

森の中を走り続ける姉蜘蛛 

姉蜘蛛(顔を切られたくらいで済んだのはまだマシだったのかもしれない 
顔が元に戻ったりするのを累は一番嫌う 
そして"守る"だとかそういうくだらない言葉をアイツは好むのだ) 

木々の隙間に、人の後ろ姿が見えた 背中に『滅』の鬼殺隊の制服――村田だった 
村田が気づく前に構え、襲い掛かる姉蜘蛛 

村田「!!」(鬼!!) 

気配に気づき、振り向いて日輪刀を構える村田 
しかし姉蜘蛛の攻撃は避けられなかった 

溶解の繭 
姉蜘蛛の両手から蜘蛛の糸の束が出され、村田の体が丸ごと巨大な繭に包まれてしまう 

村田「…!!」 

姉蜘蛛(よし 一匹!!) 

繭の中で刀を振るおうとする村田 しかし何かの液体に満たされた繭の中、糸は全く切れなかった 
青ざめ、苦しげに息を吐き出す村田 

村田(きっ… 切れない…!!) 

姉蜘蛛「無駄よ 切れやしない 
あたしの糸束はね 柔らかいけど硬いのよ まず溶解液が邪魔な服を溶かす 
それからアンタの番よ すぐどろどろになって あたしの食事になる」 

続きます