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キングダム 511話 『列尾の罠』

ナレーション~

火急の如く夜通し駆け、王都圏へと進軍する李牧!!

当代一の軍略家が施した秘策とは!!?


趙軍「急報っ!列尾陥落」
「列尾陥落です」
「なっ 何だとォ!?」
「公孫龍将軍は間に合わなかったのか!!」
「それで公孫龍軍は今列尾を攻めておるのか!?」
「いえ 軍は後退して陽土に布陣した模様です」

「なっ 何ィ!?」



李牧「構いません 私の指示通りです」
趙軍「えっ」
李牧「大丈夫です」

「列尾には私の施した〝秘密〟があります」
趙兵「!?」
傅抵「秘密!?」
カイネ「・・・!?」
2 (2)


李牧「その秘密に気付かずに秦軍が動いてくるならこっちのものです」
「しかしそうはならないでしょう」
カイネ「!?」

 

 

馬南慈「やはり気付きますか」

「王翦は」

李牧「間違いなく」
「そして気付けば」
「秦軍はそこから一歩も動けなくなると思います」
趙軍「!?」



舜水樹「・・・」
「もし李牧様が 今 王翦の立場にあったとしたら」

「どうされますか?」


李牧「・・・・・・ ・・・・・・」
「そうですね」

「もし私が王翦であれば・・・」
「多少危険を冒してでも」
「〝あれ〟を見に行きます」
馬を走らせる王翦将軍の一行
1 (1)

ナレーション~ 秦の命運握る夜駆け・・・・。

場面は変わり、列尾城
貂「総大将がいたくなったって 一体どういうことなの!?」


秦兵「我らも今調査中だ」
貂「何か伝言みたいなのはないの!?」

秦兵「あることはある」

「共に消えられたと思われる第一大隊長 亜光様からのものだが」
貂「何て!?」
秦兵「〝全軍 列尾に三日待機!〟と!・・・・・・」
貂「はァ!?」
秦兵「うっ うるさいぞ小娘貴様」

「我らも今とまどっている姿が見えんのか!?」
貂「だってここで三日も費やしてたら せっかく李牧に先行した意味が無くなっちゃうよ!」


秦兵「だから 我らに怒鳴るな貴様」


山の民「飛信隊の女 意外と気性が激しいな」


楊端和「本当に伝言はそれだけか?」
貂「楊端和」
楊端和「この列尾城について何か言ってなかったか?」
1 (2)

貂「!」
秦兵「・・・」

「・・・・・・は?」


場面が変わり、桓騎軍の様子
桓騎軍兵「お頭ァ」

「お頭、何か王翦本軍が騒いでますぜ 王翦が居なくなったとかで」
摩論「!?」

雷土「?」

黒桜「は?」
摩論「いなくなった?」

雷土「何だそりゃ」
桓騎「・・・」

「城がやべーからだろ」
雷土「ん?何か言いました お頭?」


桓騎「・・・何も」


ナレーション~
王翦が姿を消して二日・・・。
秦軍は列尾から一歩も動けずにいた
無論 王翦失踪の件は上層部だけの秘密であり

兵は次の進軍のための休養だと信じていた



部屋にやってくる桓騎
部屋には蒙恬、王賁、楊端和、信、貂が待っていた
1 (3)

桓騎「・・・」
信「おっ」


桓騎「・・・・」
信「・・・とりあえずそろったぞ蒙恬」
蒙恬「ああ」
桓騎「騙しやがったな 山の女」
楊端和「二人きりとは言わなかったぞ」
「話があるのは本当だ 席について意見を聞かせてほしい 桓騎将軍」
桓騎「・・・・・・」
「信 そこは将軍の席だ あけろ」



信「えっ」

「おい王賁 ちょっとそこどけ」


王賁「うせろ」

「さっさと始めろ蒙括」
殴りかかろうとした信を止める貂

(今それどころじゃないだろ)


蒙恬「うん・・・・・・」
「では単刀直入に」



「この列尾城は〝意図的に弱く〟作られている!」
信「!?」
王賁、楊端和、桓騎は顔色ひとつ変えずに聞いている



信「・・・ ・・・・・・」

「はぁ!? 何言ってんだ蒙括 お前」
楊端和「伝えてなかったのか?」
貂「うん オレもずっと城内回ってたから」
「あとうるさいし」
王賁「自分で攻めて気付かなかったのか?」

「国門という割に手応えがなかったと」
信「バカ言え それは飛信隊と山の民が強すぎたってことだろーが」

「のん気に後で来た奴がケチつけんじゃねェ!」
貂「信」


蒙恬「落ちつけよ信」

「俺も見てて 飛信隊・山の民が強すぎるんだと思ったよ」
「でも城内に入って違和感を感じ」

「この二日 見て回って確信に変わった」

「微妙な城壁の高さも 乱れた動線も」
「ここは意図的に〝守りづらく〟作られている」
「そして恐らく王翦将軍はイチ早くそのことに気付いて姿を消したんだと思う」


王賁 楊端和「!」

信「!?」
貂「?」
信「・・・」

「な・・・何でそれで総大将が姿消しちまうんだよ・・・」
貂「・・・」
蒙恬「残念だがそこまでは分からない」
信「ちょ・・・ちょっと待て 何が何だか頭が追いつかねェ」
王賁「だろうな」



信「うるせェ」
「つか そもそも何で列尾を弱くする必要があるんだよ」


「趙の国門だろうが」
王賁「〝奪い返しやすく〟するためだ」
信「!? なっ何っ!?」
2 (3)


王賁「列尾が強固な城であったならば もし秦がこれを落とし手に入れれば

今度は趙にとって不落の城となってしまう」
「だからあえて強固にせず奪還しやすくしておき」
「列尾を抜いて敵が王都圏に侵入した時」

「太行山脈に伏せてある軍を南下させ再び列尾を奪い返し敵の唯一の〝出口〟をふせぐ」

「そして脱出口と補給線の両方を失った敵を王都圏の各軍でゆっくり包囲殲滅するという作戦だ」
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信「なっ・・・」
貂「・・・」


蒙恬「・・・尋常な戦略じゃない」

「王都圏を狙う強行軍に対し逆に誘い込んで殲滅を狙って待つ防衛策なんて・・・」
2 (1)

貂「そ・・・そんな戦略・・・」


蒙恬「練れるのは間違いなく唯一人」
1 (5)

「李牧!」

信(・・・・・・・)

(李牧・・・)
信「・・・・・・」

「・・・かっ」

「感心してる場合じゃねェだろ」
「先行して優位に立ってんのは俺達なんだ 今から何か対応策を・・・」
王賁「手はない」
信「!?」

「王ほ・・・」

王賁「気付かんのか」

「この大遠征の本命である〝鄴〟攻めは列尾を不落として

補給線を確保し続けることが絶対条件の作戦だった」
「その昌平君の大戦略が今 根元から粉々に打ち砕かれてしまったのだ」


信 貂 「な・・・」

「何だとォ!?」


蒙恬「・・・・・・」
「信・・・」

「・・・いや」

「他の者も・・・」
「大将 王翦がいない席でこんな話をするのも何だけど・・・」


「今の俺達の前には三つの選択肢があると思う」
1 (6)

王賁 楊端和 桓騎も聞き入っている


貂「!?」
信「・・・・・三つの・・・」
「選択肢!?」



蒙恬「ああ」
「一つ目は」
「この列尾に当初の予定以上の兵力を残して王都圏に突入する手だ」


信「!」


蒙恬「弱いと言っても城は城 兵力さえあれば守りきれぬことはない」
「ただし それ程多くの力を割いて本命の鄴を落とせるのか 甚だ疑問が残る」


信「・・・・・・」
貂「無理だよ それができないから この連合軍っていう大戦力でのぞんで来たんだから」



信「・・・ふっ 二つ目は蒙恬」


蒙恬「列尾城の弱点を改修して」

「敵の攻城戦に耐えうる城にする」
信「し 城を改修する・・・」
「そ・・・そんなことができるのか蒙恬」


王賁「やめておけ」
「それに一体何日かかると思っている」

「そんな悠長なことをやっていればそれこそ」

「李牧が戻って列尾より先へ一歩も進めなくなるぞ」


蒙恬「だよね」

「だったらやっぱり第三の選択しかないのかもしれない」
「・・・って言うか 信以外 皆もう頭にはあるとは思うんだけど・・・」


信「何だよ蒙恬」

「三つ目の選択って・・・」


蒙恬「・・・」
蒙恬「〝全軍撤退だ〟」
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信「!!」
「・・・・はァ!? 何言ってやがんだ蒙恬」
「こんなにうまくここまで来といて」


貂「・・・・・・先生の策が無に帰したのなら たしかに今はそれしか・・・」
信「テン」




王賁「勢いでどうにかなる戦いではない」

「不用意にこのまま王都圏に侵入して行けば この二十万 本当に〝全滅する〟ぞ」
2 (4)


信「王賁てめェまで・・・」
楊端和が桓騎に気付く

楊端和「・・・・・・どうした」

「何を笑っている桓騎将軍」



蒙恬「!?」



桓騎「やっぱ若ぇな ザコ共は」

信「何っ」

蒙恬「・・・・・・どういう意味でしょうか」
桓騎「フッ」

「何でそこに〝第四の選択肢〟がねェんだよ」
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一同「!?」
信「だっ第四の」
「選択肢!?」




桓騎「逆に〝こっちからこの列尾を捨てて全軍で〟王都圏に雪崩込み
兵糧が尽きる前に〝鄴〟をぶん取ってしまうって手だ」
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信 貂 「なっ・・・」




蒙恬「・・・・・・無謀すぎる」
桓騎「だからザコだと言ってんだ」
「まだ分かんねェのか」
信「!?」


桓騎「その手を取れるかどうか確かめるために」
「あいつは今 走ってんだろーが」
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一同「えっ!?」
ナレーション~

桓騎が放った常識を超える〝第四の選択肢〟!!

進攻か撤退か、その是非は総大将・王翦の双肩にかかる!!?