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キングダム 第516話 『陥落の武器』


ナレーション~

帰還した、救国を担う英雄。
【邯鄲】兵たちが李牧を迎える
「李牧様」

「李牧様」

「お待ちしておりました」

「総司令」

「李牧様」
カイネ「!!」
(こいつら・・・)

(・・・たしか前三大天 藺相如様の・・・)
兵「邯鄲軍の出陣は叶いませんでしたが我らとその私兵は許されました」
「北の炎城・文城から一万ずつ南下中です 間もなく邯鄲(ここ)に到着します」
李牧「上出来です」




兵「二万をそのまま鄴へ進めておきますか?」
李牧「いえ、その必要はありません」
「鄴はこの中華でも〝最強〟の部類に入る城です」
「秦軍に鄴は攻め落とせません」

2 (1)


「ここまで秦軍に入ってこられたのなら 逆に秦軍を鄴に集め」
「それを趙軍で囲って動かず〝兵糧攻め〟にします」




兵「秦兵がもだえ苦しむ姿が目に浮かびますな」
李牧「・・・とにかく王との謁見をすませてきます」
「その後すぐに王都圏全ての軍統制に・・・」




胡周「李牧様ー」

「おっお帰りなさいませっ お待ちしておりましたっ・・・」




李牧「!」
カイネ「胡周殿っ」
李牧「胡周 よく私の鳥の伝令を行動に移してくれました」
胡周「いっいえ そっそれよりも王都圏内部からも続々と鳥がっ」
 
李牧「!」
「王の謁見後 私もすぐにあなたの下へ向かおうと思っていました 今の秦軍の動きは・・・」
胡周「ハ!」
「すでに伝わっているとは思いますが」
「秦軍の本軍はさらに三軍に分かれ途中の城々を落としながら鄴へと近づいています」
「すでに落とされた城は八つ」

「九つです 先程〝許〟も落ちたと鳥が」



「九つです」



李牧「・・・・・・・」
「公孫龍の九万は?」
胡周「そちらは山民族の軍とにらみ合いのままです」
「しかしその前線が東へ移動してきているため 王都圏南部に出た難民が北へ逃げれずにいます」




李牧「!?」

「・・・・・難民?」
胡周「! ・・・ハ」
「秦軍は落とした吾多城と丁城の民を全員外に追い出した模様です」
文官「辛城と赤城もです ハイ」

「石城もです」
2 (2)


舜水樹「他の城の民は?」
文官「たしか平城もです」




胡周「山旦城はまだ不明ですが・・・」
3 (4)


傅抵

「・・・・じゃあ今 王都圏南部には難民の群れがわんさか彷徨ってるってことか!?」



カイネ「えっ」
李牧「いえ彷徨ってまいません」


カイネ「?」





李牧「秦軍は手分けして西から順に落として東進している」
「北には前線の壁」

「難民の大群が間違いなく全員〝東〟へと向かっています」
傅抵「えっ・・・・・・」
3 (1)

「てことは連中が行く着く先は・・・・・」
李牧は焦った様子で
「胡周・・・」




胡周「ハッ・・・」
李牧「・・・・・・」
「いつから・・・」
「一体 何日前から 鄴は難民の受け入れをしているのです・・・・」



 
場面が変わり、【鄴】
難民の大群
「みっ見えたぞ あれが鄴だ」
「やっと着いたぞ」
「ハッ」 「ハッ」

 

「何てでかい城だ・・・・」
「ゼハ」 「ゼハ」

「これで食い物が・・・」
「その前に水だ・・・」
「水・・・」

「ホギャア」
「ホギャア」
「ゼハ」 「ゼハ」



「しっかりしろ陳 もうすぐだ」



趙兵「押すなっ」
「首長は帳面を出せ 帳面にない者は入場できぬ 外で対処する」
難民の大群

「水・・・」
「み・・・水」
「食い物」
「お お堀の水飲んでいいですか?」
趙兵「バカ者 中に用意してある」
「外の者の分もあるぞ」
「押すなっ」
趙兵「辛城の人間は左へ行けェ」
「足を止めるなァ」



難民「ゴホ」
「み・・・水」

 
趙兵「赤城の人間は南の区画へ進め」
「吾多城・丁城の人間はそのまま進めっっ」
「足を止めるな」
「くっまだ来るのか」
「第二郭もあふれるぞこれは」
「黄智 第三郭を解放してもらうよう伝令を出せ」
「すっ すでに第三郭も開放してそこも人で埋めつくされてます」
「なっ 何ィ!?」



趙兵「まずはこれで一息つけ」
「立てるようになったら配給に並べ」




難民

「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「んっ」「んっ」「んっ」
「ふうっ」

「うう助かった・・・」
「うっうまい 水が」
「ゴホ」「ゴホ」
「んぐ」「んぐ」

「こっこっちにも下せェ」
「こっちも」
「ありがとうございます」
「水を」
「こ これだけですか」

「助かった」
趙兵「配給はあとだ」
「ゆっくり飲め」
趙兵「ご城主 第三郭が東側まで難民でいっぱいになりました」
「ご城主 晋利間将軍が一度城門を閉めて難民の流入を止めるよう進言されています」
鄴城主 趙季伯「何をバカな 民こそ国の礎」
「秦軍はまだ迫っておらぬ ギリギリまで門を開いて難民を助けよ」
2 (3)


文官たち「し しかし これ以上は」

「ご城主 穀物蔵の三号が空に」
「難民の多さに食糧があっという間に・・・」



趙季伯「・・・・・・・」

(ピク)

「構わん 第四号 第五号を解放しろ」
「蔵は無数にある」
文官たち「じっ城主」



【鄴城 西壁 巨大望楼】
晋利間「なぜ城門を閉めんのだ」



文官たち「ご城主が民を全員中に入れよと」
晋利間「何っ・・・」



【西壁長 将軍 晋利間】

晋利間「・・・・・・」
「バカな」

「とうに城の許容を超えておるのだぞっ・・・・・」

「城主はちゃんとこの状況を見ておられるのか!?」



場面が変わり【邯鄲】
舜水樹

「今すぐ」
「鄴へ鳥を飛ばすべきかと」
3 (2)


李牧「いや もう間に合わないでしょう」



カイネ「どっどういうことですか李牧様」


李牧

「王翦は・・・列尾を落とした後」
「本当に鄴を見に行ったのだと思います・・・」
カイネ「!?」
李牧

「実際に見て 鄴が力技で落とせぬ城だと気付いた・・・」
「気付いたので・・・・・・」

「王翦は真っ直ぐ鄴へと向かわず わざわざ九つもの城を落として回ったのです」
「・・・・・・・」



「私も読めなかったその目的は・・・・・」

「鄴を落とす〝武器〟を作るため・・・・・!」
カイネ

「城を追われた難民が・・・・」
「武器!?」
2 (4)


場面が変わり 【鄴】


兵たち「あっ 将軍」
「あれを・・・」
「ようやく難民の群れに切れ目が」

「あれが最後尾か」
3 (3)

兵たち

「ん?」
「!!」
「あっ」
「狼煙だ」
「奥に狼煙が上がってるぞ」
「姿は見えぬが 秦軍が迫ってきている報せだ」

「ぐっ 三本上がっている 別れた三軍がそのまま向かってきているのか」



晋利間将軍「敵襲の鐘を鳴らせ!」
「・・・・・・」

「ついに」
「これ程の深部にまで来たか・・・」

「秦軍め」
2 (5)


信「あれが・・・・」
「鄴か!!」





摩論「っホホホ」
「どうやら私共が一番乗りのようですねェ」




桓騎軍兵「うおっんだありゃ」

「でっけェなオイ」





趙兵「っ来たぞォ」
(ガンガンガンガン)
「くそっ」

「横一線 真っ黒だ」

(ガンガンガンガン)
「あわてるな何万来ようが関係ない!」
城門の趙兵「ええィ 早く入れっ」
「門を上げるぞォ」

難民「ヒィィ」
「ま待って!」





城門の趙兵「よし いいか」
「閉めるぞォ」
李牧「間もなく鄴は想定通り籠城へと入ります」



城門が閉まっていく
ゴゴゴ ギギギギ ドオオオン




李牧「想定外なのは・・・」

「内部に九城もの民を抱えてしまったことです」
(ガンガンガン)(ガンガンガン)

2 (6)


難民
「水」

「水」
「お腹へった」
「水」

「水」
「ホギャア」

「うわあ~ん」

「みっ水はまだか」
「ゼエ」
「ゼエ」

「食べ物は?」
「こっここにも秦軍が攻めてきたのか!?」
「水・・・」

「苦しい・・・・・・」
「く食い物を早くっ」

文官「ご城主 報告がっ」

趙季伯「何だ 秦軍が来たことは存じておるわ」
文官「いっいえ そうではなく」
「第五の蔵も空になり 第六も開けていいのかと係りの者が・・・」




趙季伯 「!」(ピク)




桓騎軍 黒桜
「攻城戦をやるつもりはない」

「全部各城門前に固めろ」
桓騎軍兵「ハイサー」
カイネ「で では」
「つまりこの戦いは」




李牧

「秦軍の兵糧が先に尽きるか・・・」

「・・・・九城の民が鄴の食糧を食べ尽くすかという」

「〝兵糧攻め合戦〟となりました!」
カイネ

「ひ 兵糧攻めの・・・」
「かけ合い」
「李牧様・・・」
「そんな戦い・・・」



李牧「私も聞いたことがありません・・・」

(・・・・・・・・・・王翦・・・)
2 (7)


桓騎

「フフフ」
「兵糧攻めを受けときながら」
「相手の民を使って兵糧攻めで返すのかよ・・・」


「やっぱお前 ぶっ飛んでんな 王翦」
2 (8)



王翦「・・・・・・」
「〝鄴〟はお前に任せるぞ桓騎」
摩論 黒桜 「!?」



桓騎「・・・・・お前が行くのか」



王翦

「・・・・・ああ」
「李牧が鄴(ここ)を解放しに来る前にこちらから攻め上がらねばならぬ!」
ナレーション~
ついに正体を現した〝王翦の秘策〟!!
民を攻城の刃とした奇策で、秦趙の大戦の行方は何処へ・・・。