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キングダム 第530話 『必殺の別働隊』

ナレーション~

朱海平原・秦軍左翼・・・・。

苦境に陥った趙将・紀彗を討ち取るべく飛信隊が往く!!!


飛信隊

「敵は正面の麻鉱軍と裏の楽華隊に意識が集中している」

「飛信隊(オレ達)はその間を刺し抜いて一気に本陣の紀彗を討つ!!」


「分かっただが 集中しているっつったって守りがいないわけじゃねェ」

「娘軍師は危ねェからこの辺で止まっとけ」


「わかってる もう少しだけ」


「・・・・テン 旗を掲げさせろ」


「えっ」

「何でわざわざ・・・」


「この数で突っ込んで紀彗が気付かねェはずがねェ」


我呂
「だったら堂々とっ・・・てか」



「飛信隊の力を知らしめる」

「・・・・・そしてっ・・・」

「俺はこの戦いで〝将軍〟になる!」
1


羌瘣
「・・・・・・」

「うん」


飛信隊
「全旗掲げろォ」

「飛信隊が突撃だ!! 行くぞォ!!」

「オオ」
2


趙軍兵
「急報ーっ」

「紀彗様 東側側面より敵騎馬が駆け上がって来ます!」
3



紀彗
「何ィ」



趙軍兵
「数はおよそ六百から一千!」

「!!」

紀彗軍兵
「くっ・・・この手一杯の状況でさらに一千近くだと!?」

「紀彗様」


紀彗
「・・・・・・」


趙軍兵
「さっさらに・・・」

「敵の旗には〝飛〟の文字・・・」



「かっ・・・駆け上がって来ているのはおそらく〝あの〟っ〝飛信隊です〟!」


紀彗
「!!」

紀彗軍
「!!」


「なっ・・・・・」

「何だとォ!?」



伝令
「報告! 東からの新手っ・・・飛信隊が第一陣を突破して上がって来ます!」

(ドガガッ)


紀彗軍兵
「!」



紀彗軍兵
「・・・・・飛信隊は正直侮れぬ・・・」

「黒羊では奴らの急襲で慶舎様が・・・」

「その流れで劉冬様も・・・」


「・・・・・・・いかん・・・何か対処せねば奴ら間違いなく本陣まで・・・」


「紀彗様」


「紀彗様」

紀彗

「・・・・・・」


(黒羊の因縁の相手 飛信隊)

(今度は王翦の〝必殺の別働隊〟としてこの紀彗を取りに来たか・・・・・・)

(だが一度戦っている分 その力を見誤ることはない!)

「後ろの陣を解いて最終防陣まで退がるぞ」


紀彗軍兵

「!? えっ」


「本陣最後の守りに・・・」

「しかし上に立て籠もると万が一の時の逃げ場が」

「それよりも後方はこのままで 前の馬呈様に飛信隊を止めてもらった方が・・・」


紀彗

「ならん! 正面も針の一刺しで守りが崩壊しかねん戦況だ」

「正面が崩れれば〝全てが〟終わる」


紀彗軍兵
「・・・・・・紀彗様」

「しかし最終防陣に退がり立て直すその前に恐らく・・・」

「奴ら飛信隊は来ます!」


紀彗
「・・・・・・」

(その通りだ!)


新たに現れた騎馬隊
「我々が行きます!」

(ドガガガ)


紀彗軍
「!」

「!」

「あっ」

「お前達は・・・」

「劉冬将軍の親衛隊!」

劉冬将軍の親衛隊
「我ら二百騎で奴らの足止めを・・・」


「いや・・・」

「刺し違えてでも飛信隊隊長信と」

「副長羌瘣の首を!!」
4


紀彗
「・・・・・・お前達・・・」



【丘正面 馬呈軍】

馬呈軍兵

「馬呈様 飛信隊が東の第二陣を抜いた模様です」


馬呈
「くそォ 城主から何か指示は!?」


馬呈軍兵
「まだ何も」

馬呈
「・・・・・・くっ つってもこっちも動きたくても動けねェ」

「麻鉱とかいう秦将 一体どういう練兵してやがる・・・」


「ん!?」


馬呈軍兵
「馬呈様 騎馬隊が飛信隊の方へ」

「あっあの旗は・・・劉冬様の・・・」


「馬呈様!」


馬呈
「・・・・・・」

「うるせェ! 見えてるよ」


「あいつら・・・・・・」


馬呈軍兵
「・・・・・・」


馬呈
「劉冬・・・」


「しっかり見守ってやれよ」


飛信隊
「!」「!」


「信 新手だ」

「来るぞォ」


羌瘣
「!」〝劉〟の文字の旗に気づく


劉冬将軍の親衛隊
「オラァ」

「死ねェ飛信隊」


飛信隊
「!」

「!」

「ぐあっ」

「ヌオッ」


劉冬将軍の親衛隊
「チィ」


飛信隊
「くァァ」


劉冬将軍の親衛隊
「死ねっ」

「死ねェ」



飛信隊
「ぐっ」

「がは」

羌瘣が斬りつける


劉冬将軍の親衛隊
「! 貴様がっ」


「羌瘣だな」


「死っ」


羌瘣が一瞬で斬る
5

(ドガヒ)



劉冬将軍の親衛隊
「おの・・・れ・・・」

「劉冬さ・・・」


「・・・・・・」

飛信隊
「すげェ」



「・・・っ」

「突破するぞ飛信隊」

「本陣は目の前だっ」

「オオ」


趙軍
「行かせるかァ」


【丘裏 楽華隊】

蒙恬
「飛信隊が来てる!?」


楽華隊兵
「間違いありません!」


「我々と麻鉱軍の間を駈け上がって来ていると!」
6


蒙恬
「そういう使い方するために王翦将軍は飛信隊を中央に・・・?」

「・・・・・・」


「って おかしいでしょ 〝おいしいとこ〟取りは楽華隊(うち)の得意技だって」


「全員押し込むぞっ 飛信隊の出現を〝利用して〟一気に駈け上がる!」


楽華隊
「オオ」


【丘正面 麻鉱軍】


麻鉱軍兵
「将軍 右手より飛信隊が本陣目がけて駈け上がった模様です」


麻鉱
「!? 飛信隊!?」


「・・・・・・どういうことだ」

麻鉱軍兵
「王翦様の本命は飛信隊だったとでも言うのか」


麻鉱
「・・・・・・・」


「我が殿の策はそういう浅いものではない」


麻鉱軍兵

「!」

「!」


麻鉱
「戦は〝流れ〟だ」

「どれでも本命になりうる流れ これが敵にとって最も恐ろしい戦局よ」

7
「無論 左(ここ)の主役はあくまでこの麻鉱であるがな」
「頃合いが残りの精鋭部隊を突撃させよ」
「紀彗を本陣ごと濁流に沈めてやる」



麻鉱軍兵
「ハハァ」

場面が変わり、紀彗軍

紀彗軍兵
「・・・・・・紀彗様」

「正面の麻鉱軍が」


「ぐっ・・・これは・・・」


紀彗
「・・・・・・」


紀彗軍兵
「いよいよ全軍攻撃か・・・」



紀彗
「・・・・・・・〝ここ〟か」
8


紀彗軍兵
「紀彗様 とっとにかく早く本陣へっ」

「本陣より馬呈軍に援軍を送る指示を」

「他の軍の戦況も把握せねば・・・」


紀彗
「!?」


趙軍を蹴散らし、こちらへ向かって来る軍隊がいる

紀彗軍兵
「え!?」


「紀彗ィ」


紀彗軍兵
「飛信隊!!」

「・・・・・・バカなっ」


紀彗
「・・・・・・・」

(やはり来るか飛信隊・・・)


紀彗軍兵
「何をしてる 守備兵 奴らをからめ取れっ」


「馬だっ」

「馬を狙えっ」


「紀彗様は上にっ」


(ドオッ)


紀彗軍兵
(ビクッ)

「!?」

「!?」


「なっ何だこの喚声は」


伝令
「報告 裏の敵が第三陣の一部を突破!」

「けっ決壊した場所からものすごい数が駆け上がって来ます」
9


紀彗軍兵
「何だとォ!?」


飛信隊
「ヌオオ よォし追いつめたぞ紀彗め」

「思ったより楽に来れたな」

「麻鉱軍と楽華が頑張ってるからだろ」


「絶対ここで決めるぞ」
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楽華隊
「蒙恬様 本陣が見えて来ました」


蒙恬
「陸仙 右に回って紀彗の退路を断って!」


陸仙

「ハ ご武運を」



紀彗軍兵
「くそ 飛信隊め!奴らの出現でメチャクチャに・・・」


「紀彗様 奴らが来る前に今すぐ本陣を捨てねば」

「!」

「!」


「バカな 本陣を捨てて逃げれば馬呈軍は背から攻撃を受け全滅するぞ」

「脱出するなら馬呈軍も同時に動かかさねば」


「そんな暇はない グズグズしていたらここから脱出できなくなるぞ」

「ならん本陣を捨てるなら馬呈軍も同時だ」


「紀彗様」


「紀彗様」



紀彗
「本陣は捨てぬ」

「ここで飛信隊を止めることに全力を注ぐ」



紀彗軍兵
「!?」

「えっ」


「むっ無茶です 裏からも駈け上がって来ています」

「三千以上です」

「たとえ飛信隊を止めても」



紀彗
「ならん 〝今のこの形〟を崩すわけにはいかぬ!」


紀彗軍兵
「!?」

「い・・・今の・・・この形!?」


紀彗
「窮地にあるのは・・・」


「我々だけではない」


紀彗軍兵
「・・・・・・」

「・・・・・・」

「え!?」


紀彗
「目を光らせているのは」

「王翦だけではない・・・」



紀彗軍兵
「?」

「?」


戦況を見守る麻鉱


麻鉱
「・・・・・・」


ふと左を見る麻鉱


紀彗
「〝必殺〟の別働隊を用いるのは・・・」


「王翦だけではない」


麻鉱のすぐ左手に李牧が迫っていた
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麻鉱の喉元に李牧の刃が刺さる

(ドス)
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麻鉱
「り・・・」


ナレーション~

別働隊を自ら率いる趙軍総大将・李牧の覚悟が、

秦の〝喉元〟に突き刺さるッ!!!