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ゴールデンカムイ 第135話 『鎖デスマッチ

1

杉元の左拳が二階堂の右頬にヒット。

続けて銃床で二階堂の顎を救い上げるように打ち付ける。

そして杉元は銃床を振り上げた腕を戻しながらその流れで、
右頬に刺さったままだった二階堂の銃剣を右手で素早く引き抜き、二階堂の顔を狙って突き立てる。


二階堂は杉元を睨みつけながら自身の左頬を右腕で銃剣の刃先をガード。刃先は手首に埋まる。


杉元はさらに二階堂を足裏で思いっきり蹴とばし、二階堂が倒れ込んで距離が出来た所を狙い撃ちにしようと銃を構える。


二階堂は立ち上がるどころか寝転がったまま右膝を腹につけるように折り畳み、右足の裏を杉元に向ける。

杉元は二階堂に銃で狙いを定めながら、二階堂の足裏を自分に向けて来るその妙な仕草に疑問を抱く。


その瞬間、構えていた照準を放棄し、自分に足裏を向けている二階堂の右足に向けて銃床を打ち付ける。

自身に向けられていた足裏が下にずれ、その瞬間に二階堂の右足に仕込まれた銃が火を噴く。


杉元の左足ふくらはぎに銃弾がヒットし、肉が抉れる。
2

二階堂が腕を後ろに突き出して素早く起き上がり、仰向けに倒れた杉元の顔の上に右足を乗せる。
その右足裏の土踏まずの辺りには銃が発射された穴が露出している。


「洋平ッ 杉元がそっちに行くぜぇ!!」
二階堂は自身のしているヘッドギアの顎の耳に向けて呼びかける。

メギョッ

杉元は素早く二階堂の右足の義手を膝から真反対に折り、足裏を二階堂に向ける。
3


その瞬間に再び火を噴く仕込み銃。


二階堂に右手にヒットし、右手は原型を留めないほどにまで吹っ飛ぶ。
4


杉元は二階堂の右足からもぎ取った仕込み銃の義足で二階堂の左頬を激しくフルスイングし、仰向けに倒れた二階堂の顔を何度も義足で打ち付ける。
5

その時、背後から聞こえた銃声。杉元は素早く反応する。

走ってきた第七師団兵が倒れている二階堂を発見する。


杉元はすぐそばの建物の床下にうつ伏せに身を潜めて第七師団兵の目を免れていた。
二階堂の仕込み銃でえぐれた左ふくらはぎから地面に血が流れている。


歯を食いしばり、前を向く杉元。その息は荒い。
「のっぺら坊をアシリパさんに会わせる…アシリパさんに……!!」
6


土方対犬童の鎖デスマッチ

教誨堂。



土方と犬童がそれぞれ左手首を鎖で繋がれ、向かい合っている。


「榎本武揚は…いまや『子爵』だ」
サーベルを構える犬童が土方に語り掛ける。
「旧幕府軍として箱館戦争で共に戦った男は貴族になり…かたや土方歳三は年老いた脱獄囚…」
7


鎖がジャギッ、と音を立て、お互いの間で張り詰める。


土方は鎖に繋がれた左手首を引きながら、犬童を静かに、真っ直ぐ見据える。


「榎本武揚のように明治新政府軍へ下り『任官』でもしていれば30年以上も鎖に繋がれずに済んだものを…!!」
犬童は左手首の鎖をギリギリと引きながら土方を憎らしそうに、恨めしそうに睨め上げる。


土方は右手で腰元の刀をすらりと抜く。


それを合図にしたように犬童が左腕の鎖を思いっきり後ろに引き、引き寄せられた土方に向けて真っ直ぐにサーベルを突き出す。


刀の腹で軌道を逸らしてサーベルの刃先を躱す土方。


返す刀で切り返す土方の袈裟懸けの斬撃を犬童は眼前に張り詰めた鎖で防ぎ、サーベルで土方の右肩を切り上げる。


土方の右肩に大きな傷が出来、ブワッと血が流れ出る。


「ふんッ」
犬童は再び思いっきり左手首の鎖を後ろに回すように引き、犬童を中心にして生じた遠心力で土方はバランスを失って床に倒れ込む。

片膝をつき起き上がる土方。肩からの出血は激しさを増し、床をしとどに濡らす。



「命乞いをしろ!!」
犬童が土方にサーベルの刃先を突きつけて叫ぶ。
「私に服従し私の部下になれ」
8


「毎朝私の靴を磨きご機嫌をとれ!!」


土方は、この期に及んでまだ私に明治新政府へ転べと? と揺るぎない拒否の意思を見せる。


犬童のサーベルによる斬撃。


土方は刀で受ける。



犬童の土方への執着の理由

土方は、自らの軍門に下れという犬童の真意を見透かしていた。



犬童を始めとした新政府の人間は、徳川への「忠」を新政府は「仇」で返したにも関わらず、国策として国民に対して「忠」を教えなければならなかった。
その自己矛盾の解決のために、今なお「忠」を尽くす土方のような旧幕府軍人の思想を「転向」させて配下に置く事で正当化を図ろうとしていた。



「貴様らは怖いのだ…」
犬童の魂胆を見透かしたような土方の静謐な目が刀と重なる。
「殉教者となった旧幕府軍人が怖くてたまらんのだ」
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「忠」を保ったまま死んだ人間は二度と「転び」することもなく時間の経過とともに美化されていくため、自分を殺さなかった、と土方。


犬童自身の、そして死んだ兄の生き様を肯定するために、「忠」に生き、対立している土方を「任官」させて自身の配下に置く。


土方は、それが犬童の歪んだ復讐の成就の時だと喝破する。


「今日この瞬間まで私のような田舎育ちの農民が貴様ら武士を凌ぐ忠義を貫いているという真実に耐えられんのだ」
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「四肢を切り落としてでも服従させるッ」
怒りを隠そうともせず、土方に向かって吠える犬童。


決着

土方は犬童との会話の最中、左手を肩から流れる血を溜める器のような形にしていた。

流れる血は、いまや土方の掌になみなみと溜まっている。


ジャギィッ


犬童が怒りに任せて左手首の鎖を後ろに引く。
土方はその力に逆らわず、手のひらに溜めていた自らの血を犬童に向けて差し出す。


土方の血は犬童の目を塞ぐように目元を濡らす。
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犬童の視界は暗転する。僅かに捉えていたのは横たわる都丹庵士のみ。

その瞬間、土方と犬童との間で張り詰めていた鎖がゆるむ。

ズドッ

土方は前に踏み込み、視界を失ってその身を屈めた犬童の左胴を刀で斬り上げる。

犬童に振り向く土方。
「生け捕りに出来るほどまだ老いちゃいない」
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