弱虫ペダル

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    弱虫ペダル RIDE.460静かなる侵撃

    ◎先頭を追うチームが一つ…!!

    「先頭を追って追走来たぞ」

    「おおお」 「いけぇ」

    「3人!!」

    「どこのチームだ」

    「紫のジャージ」

    「京都伏見だ!!」



    ■先頭へと忍び寄る強大な影!! チームを引くのは…!?

    御堂筋はぐるう~ん ビシャアア じゅるるんっ と舌を出している…

    御堂筋「ほぅら  もっとォ 全開で引きや!! 水田くぅん!!」
    1

    水田「(くっ プレッシャーでうしろの御堂筋くんが大きく感じる)

    うおおおおおお(きつい 苦しい!!)もう精一杯やっとるよ!!」

    御堂筋「もっとや!!」
    2

    水田「うあああああああ」

    ギャラリー達

    「けど先頭とはまだ差があるぞ」

    「ここから追う気か」

    「だから必死の形相なんだよ きっと」

    「先頭走ってるのはキャプテンだ!! 追いつくために」

    「きっと率先して献身的にチームを引いてるんだ!!」



    水田(オカしいやろ!! 絶対!! このオレがなんでこんな平坦で引いとるんや!!)



    京都伏見のミーティング――

    御堂筋「明日 最後のステージ 水田クゥン キミはボクゥに はりついといてや」

    水田「! え おう!!」



    水田(昨日のミーティングではりついとけ言うたんは

    昨日の山岳賞2位の実力を見込んでオレに この3日目の

    山岳賞 もしくはゴールを

    オレにまかせる意味やなかったんか!!)

    「いけ!」

    「ガンバレ京伏!」

    水田(くそくそ こんなところでオレが力使うてどうするんや

    3年やぞ キャプテンやぞ 小鞠やろォここは!!

    1年の小鞠にやらせればいいんやこんな役!! 御堂筋クン!!)

    御堂筋「もっとやよ?水田クゥン」

    水田「ハッ ハッ ハァ ハァ ハッ ここは小鞠やないんか!!」

    御堂筋「ないよ?」

    水田「ゲフッ ゴフッ ハァ ハァ ないんか!!」



    水田(こいつ… さては… わかったぞ そういうことか

    やってもうとるな こいつ!! 戦略ミスったな!!
    3

    考えてみればおかしいところだらけなんや このレース

    集団使うて 先頭近くまで追いついて

    オレたちは広島と一緒に集団からとびだしたんや

    けど広島は“大物を潰してから来る”いうて)


    浦久保《4番が下がってくるのが見えたヤツらあがってくる いくぞ庭妻!!》



    水田(一旦 下がっていった

    広島が下がった時点で加速すれば まだ先頭に追いつけたんや

    なのに順航――――

    それどころか それどころかや!!

    あとであがってきた

    あの総北の2人までも 前にいかせたんや!!)



    水田《追わんでええのかヤツら 御堂筋クン!?》

    御堂筋《………》

    水田《あいつらチームに合流してしまうで!?》



    水田(それでこのザマや!!

    必死で追わないかんくらい差つけて

    ワケのわからん小鞠 擁護して

    結局 オレがこんなところで消耗せんといかんくなったんや!!)



    水田はギラッと御堂筋を睨みつける

    水田「ボロが出たなおい 御堂筋」

    ん?って顔をする御堂筋

    水田「2日目優勝して満足したか?

    オレらをうかれとる いうて全員ボーズにして

    結局 一番うかれとったんは おまえやったんやな!!」

    御堂筋「プア?」

    水田「出たな 得意のオトボケ

    プランあるのか思うて今まで黙っとったけど

    もうガマンできんわ はっきり言うたる

    小鞠 おまえもよう聞いとけ!!

    オレが―― この京伏キャプテン水田信行が衝撃予告をしたる!!

    これ以上どんなに走っても前のヤツらには

    オレたち京伏は はっきり言って追いつかーん!!
    4

    この男 御堂筋は リーダー風ビュービュー吹かせて

    戦略ミスをやってもうとるんや!!」

    小鞠は白い目で水田を見つめる

    水田「そうかそうか 小鞠も驚きのあまり声も出んようやな!!

    くやしいか 悲しいか しかーし これが現実や!!

    小鞠 おまえは昨日のスプリントで2位やった なのに

    この平坦で温存させるて

    わかるやろ 昨日のことでこの男はすっかり判断力にぶっとるんや!!」

    御堂筋「言いたいこと だいたい言うた?」

    水田「!? あ!? いいやまだや!!

    総北の4番 5番の時!! オレは「追おう」と言うた!! オレは言うたんや

    あの時が決定的瞬間や

    あの2人を前にいかせて総北を合流させた時点で

    おまえのミスは取り返しのつかんことになっとるんや!!
    5

    ここから先は小鞠!! オレがリーダーとなって2人で ぶっ」

    御堂筋は水田の口を塞ぐように顔面を掴む

    御堂筋「おしゃべりはもうええかな?順航速度下がっとるよ?」

    水田「ぐ…ぶ」

    御堂筋「キミの役目はボクゥを引くことやよ?それとザァンネンながら」

    水田(え!?)

    御堂筋「キミの浅い予想ォ…ププ

    あの時ィ 総北の2人ィ…ヤツらをいかせたのは ププ

    わざとやよ?」

    水田(え!? ……!? ちがうんか!? ミス ちゃうんか!?
    6

    今 この先の先頭に―― 総北とハコガクがおるのは!!)



    場面は先頭集団へ――
    7

    今泉「箱根学園四撃目!! 葦木場さん出ます!!

    くっそ どこまでやる気だよ!! おおおお」

    手嶋「小野田は一旦下がって休め!」

    小野田「はい」

    手嶋「鳴子出ろ」

    鳴子「はいな!! 行かせへんわボケェ!!」

    鳴子は葦木場の前をブロックする

    鳴子「特におまえはなノッポォ!!」」

    黒田「チィッ しつこない本当に!! 総北ゥ!!」


    御堂筋「あの場であの2人を脚を使って止めることはカンタンなことやった

    けれどォ やるべきことは勝つゥこと

    ロードレースにおいて最も恐れる状況は

    一強――――

    ひとつの強いチームが先頭を走って

    完全にレースを支配する状態!!

    けれどボクゥら3人の力では分が悪い

    だからボクゥはあの2人のチームとの合流を容認した

    そうなればヤツらはカクジツゥにハコガクを追う

    “一強”に誰かが追いつき他勢力が入ればァ ブプ

    荒れる 乱れる チャンスが生まれる!! 必ず!!
    8

    心配せんでもォ…… この“航海”」

    水田「う ひ」

    御堂筋「順調やぁぁ!!

    さぁ前向きや 二度とふり向かんでええ

    おしゃべりもいらん 前だけ見てまっすぐに

    全身全霊使って限界まで ボクゥらを引きやぁ!!」

    水田「お…おう!!」


    「京伏が山に入るぞ」

    「第3のチーム!!」

    「ガンバレー」


    水田「え…ボク『ら』? て 小鞠…小鞠は!?」

    御堂筋「キミィは この最初の登りの終わりまででええよ?」

    青冷めた表情になる水田…

    御堂筋「あとは2人でいくからぁ!!
    9

    もう少ししたらとびだすよ?小鞠クゥン」

    小鞠「ええ わかりました 御堂筋さん」

    御堂筋「この先の道の先にはキミの心から望むものがあるよ?」

    小鞠「ボクの… 心から望むもの… …ああ 筋肉(にく)ですね!!」


    ◎攻撃の機会を窺い、静かに狂気をのぞかせる!!

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    弱虫ペダル RIDE.459 『猛攻』

    ◎数々の激闘が行われた舞台。その先に待ち構えるのは…!?

    ナレーター

    榛名山 榛名湖 湖畔をスタートした3日目 最終日のレースは

    長く下った後 国道145号線でなだらかな道を西へと向かう

    吾妻川にかかった須川橋付近で右に折れ

    国道292号線に入り北上

    その行き着いた先にある国道の分岐を左折し

    急峻な山道を登り始める

    狭く険しい道を登りきり 木だちを抜けた先にあるのが

    山々の囲まれた古くから続く温泉街

    標高1156mに毎分3万Lもの湯量を湧出する

    国際的にも有名な温泉保養地――

    草津温泉である



    しかし今回のインターハイ3日目 最終日は

    その草津温泉さえも 通過点である



    総北サポートカー内――

    橘「えっ 通過しちゃうの!? 草津温泉 ゴールじゃないの!?」

    幹「うん♡」

    橘「TVにさ よくほら出てんじゃん お湯が何かでっかい木わくの中

    通って滝みたいになってるヤツ」

    幹「ああこれね『湯畑』」

    橘「そう それ!見られると思ったのに!! ていうか

    温泉入れると思ったのに 実は密かに楽しみにしてたんだよ私~~」

    幹「泣かないで」

    古賀「草津温泉は1100mの高知にあるが

    そこに豊富な水と地熱を提供している更に高い山々がある

    通称“草津白根山軍” 今回のインターハイのゴールは」

    杉本(ゴール)

    通司(ゴール…!!)

    古賀「その山群を登りきった 標高2000mを超えた場所にある

    群馬県と長野県の県堺「渋峠」――――

    日本の国道最高点―― 2172mの頂上ゴールだ」

    橘「ちょ え 頂上… 最高地点……て

    そ そんなところが今回のゴールなの!?

    て いうかまだ皆 やっとさっき登りに…草津に向かう山道に入ったトコなんだよね」

    幹「だね」

    橘「まだ この先メッチャあるじゃん

    まだまだ この先 登らないとなんないじゃん」

    古賀「そうだ 特に草津を過ぎてからの最後の登り区間は

    道は広いが休みどころがほとんどないうえ 木々も低くて風も強い

    草津までのぬるい登りで もし遅れるようなことになれば

    チーム総北に 勝ち目はない!!」

    場面は総北vs箱根学園へ――

    手嶋「箱根学園!!」

    鳴子「アカンっす!! 黒田と葦木場がとびだしましたァ!! 手嶋さん!!」

    手嶋「く!! わかってる!!

    (新開悠人がとびだして 今泉と小野田がおさえてくれた

    一撃目をおさえて オレは最後尾の泉田に注意を払った)」



    泉田《いやぁ山の景色を堪能しようと思ってね》



    手嶋「(その息つく間もなく―――二撃目かよ!! 箱根学園!!)

    わかってる鳴子!! ここで離されたら 終わりだ!! いくぞ」

    鳴子「はいな!!」



    手嶋「おおおおおおお!」

    手嶋は鳴子を引いて黒田と葦木場を追いかける

    手嶋「(だが待て 泉田はどうする

    スプリンターの泉田はうしろだ おいていくのか)」



    泉田《景色を堪能しようと思ってね》



    手嶋「(スプリンターだ!! まさか本当に景色を――!?

    いや――そんなワケねェ!! どういうつもりだ)」

    手嶋は後ろを振り向く

    手嶋「!!」



    真波「いっきますよォ!!」

    泉田「アブだよ!!」

    真波は泉田を引いて手嶋達に並びかける

    手嶋「(三撃目!!)」

    鳴子「! 手嶋さん 箱根学園最後の2人も加速してきよります!!」

    手嶋「(真波に牽引させて!! 引き上げてる!!) 上げるぞ鳴子!!」

    鳴子「はいな!!」

    スタンディングでさらにスピード上げる手嶋

    手嶋「(スプリンターの引き上げさえも攻撃に使うのか

    ぶ厚い!! くそ!! 圧倒的だ!! 箱根学園!!)」



    先頭の小野田と今泉に追いつく手嶋達

    手嶋「(油断できねぇ…1秒も!!)」

    今泉「手嶋さん!!」

    小野田「鳴子くん!!」



    手嶋は泉田に声をかける

    手嶋「やるじゃねェか 登りが始まるや否や総攻撃かよ

    オレたちを最後の登りまでにバラバラにしときたいってトコか 泉田!!」

    泉田「……フ キミたちをバラバラにした――というのは正解だが

    ひとつ勘違いをしているね 手嶋くん」

    手嶋「!?」

    泉田「このプランはボクの指示ではないよ

    平坦が終わって登りが始まった瞬間から移っているんだよ すでに

    箱根学園の指揮権は」



    泉田「この男 黒田雪成に!!」

    黒田「あ?バラすなよ 塔一郎」

    泉田「(黒田さんが――ここから)」

    鳴子「(今の三撃もこの人の――!!)」

    手嶋「(黒田が司令塔―― ここから――ゴールまでの!!)」

    小野田「(……!!)」



    黒田「さて…… 次……は誰で攻めるかな…と!!」

    小野田「(強い――!! 箱根学園は今年も強い!!

    この先 はるか登った先にあるゴールに――

    ボクらはたどりつけるだろうか!!)」



    古賀「そして もし総北が――敵が箱根学園だけだと思っているなら

    更に勝率は絶望的なものになるだろう

    必ず来る ヤツらも」

    京伏 御堂筋のカット

    古賀「ゴールを狙って!!」
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    ◎あの男が迫る…!!


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    弱虫ペダル RIDE.458 『駆け上がるクライマー』

    ◎闘い舞台は山岳へ…!!

    ギャラリー

    「上がってきたぞ」

    「いよいよ登りに入る!!」

    「各チームのクライマーだ!!」

    ◎山岳に突入し、ペースを上げる総北!!
    1 (1)

    闘志を全身にみなぎらせ進んでゆく!!

    ギャラリー

    「総北!! 4人!!」

    「小野田先頭」

    「昨年1年生にして最後の山のゴールを制した」

    「小さなクライマー!! 山王!! 小野田坂道!!」

    「1日目山岳で魅せた伏兵3年手嶋純太も続く!!」

    「2年生エース 今泉俊輔!!」

    「赤い派手男 鳴子章吉!!」

    「今泉くーん がんばってー♡」「きゃ」

    「鳴子ォー!!」

    「すげぇ総北万全!!」

    「これだけ揃ってりゃ今年も!!」

    「ああ!! 獲れるんじゃないのか 総合優勝!!」

    「いや…!!」

    「見ろよ そのうしろから来てる神奈川勢のメンバー…箱根学園を!!」

    「山の司令塔3年 黒田雪成!!」
    1 (2)

    「1日目 ゴールスプリントで優勝をもぎとった3年

    長身のエース 葦木場拓斗!!」



    「昨年のファイナリスト2年

    箱根学園 山のエースナンバー“3” 真波山岳!!」
    1 (3)

    「1年生クライマー 山頂のスズメ蜂(ビークホーネット)

    “直線の鬼”の弟 新開悠人!!」



    「うおおおお」

    「やべェすげぇ圧…」

    「オーラがハンパない…」

    「か…勝てる気がしねェ…」

    「ヤバい…」



    「せめてギリギリまでねばってくれ!! 総北!!」



    小野田の横で並走してくる新開…

    小野田(新開くん……!!)

    新開「ここからは急なつづらおりがつづいて標高を上げていきます」

    ひたすら小野田に語りかけてくる新開

    新開「正面に山が見えますね あれ 何山なんでしょうね」

    小野田「……!!」

    新開「知ってました?このルート

    有名な温泉地に向かう古い登り道らしいですよ」

    小野田の心音が上がる

    新開「温泉は好きですかぁ?」

    手嶋「! 気をつけろ小野田 ヤツらこっちの」

    新開「答えはyesですか!?」
    1 (4)

    小野田(近い!!)

    今泉「小野田!! (速い!! ハコガク!! 早速 攻撃をしかけてきた!!)」

    鳴子「小野田くん(あいつが新開悠人!! なんやあの動き)」

    手嶋「しまっ…(くそ!! 新開!! ワンテンポ速い!! 改めて感じる

    こいつ動きに 容赦も躊躇もない!!)」



    新開は小野田の腕を押さえつけるかのように接触してくる

    新開「山に入って登りになって 山王 あなたがチームを引いてるそれはナゼですか?
    1 (5)

    本来温存されるべき存在じゃないんですかぁ」

    小野田「うっ」

    新開「作戦ですか 戦略ですか 「1番」に山を引かせるなんて

    それとも山をハイペースで引く人材が」

    新開はすっと腕をどかし一瞬で加速する…!

    小野田(えっ)



    新開「いないからですかぁ!! るっしゃああああ」
    1 (6)

    新開単独アタック!!


    小野田「新開くんが加速!!」

    今泉「ちっ」

    鳴子「アカン」

    手嶋(単にリズムを乱すだけじゃない…!!

    箱根学園!! 登りの始まった この序盤から 攻撃をしかけるつもりだ!!)



    新開「るっしゃあああ しゃああああ」

    前傾姿勢で加速していく新開…!

    手嶋「この斜度のキツイところで!! くっ けどそう簡単にいかせるわけには――

    (いかねェんだよ!!)出ろ!!」



    手嶋「小野田 今泉!!」
    1 (7)

    小野田「はい!!」

    今泉「うす!!」



    小野田「ああああああ」

    今泉「おおおおお」

    小野田を先頭に新開のアタックを阻止するために飛び出す!

    小野田「あああ」

    今泉「おおお」



    後ろを振り返って新開は小野田と今泉の加速に驚く

    新開「(速い!! ヤバイ速さだ!!) しゃるあ !」



    新開(山王!! エース今泉さん!!)
    1 (8)


    小野田「ハッ ハッ ハッ」

    今泉「ハァハァ そんな急ぐなよ新開

    まだ登りはあるんだ たっぷりと それとも――」

    今泉「この先の温泉に早く入りてぇのか」
    1 (9)

    新開「…… (一気に前に出られた…!!) ええ そうすね

    汗かいてからの方が気持ちいいですからね」



    手嶋(なんとかおさえた…!!ハコガクの一撃目はしのだ―― だが)

    黒田「ちっ 失敗かよ」

    真波「今のはいいタイミングでしたけどねー」

    葦木場「やっぱ今泉も速いね」

    手嶋(真波 葦木場 黒田…!!)
    1 (10)



    手嶋(1人 新開を出してなお 余裕の布陣!!

    こっちは今泉と小野田を出して鳴子と2人!! そして――

    箱根学園の戦略か…どんな計画を立ててる)



    手嶋は鳴子に語りかける

    手嶋「鳴子……気づいてるか」

    鳴子「カッカッカ当然すわ ヤツらの最後尾でしょ

    山で見なれん男が1人ついてきとりますね」

    手嶋「山の景色をただ見たくなって ついてきてるわけじゃあなさそうだ」

    「箱根学園キャプテン“スプリンター” 泉田塔一郎」
    1 (11)



    泉田「どうしたんだいジロジロと見て

    手嶋くんに鳴子くん 驚いているのかい?

    いやぁボクだって3年間 箱根学園で練習してきた男だ

    少しの登りくらいついていくのは難しいことじゃないよ」

    鳴子(マツ毛くんが…山に!!)

    手嶋(どういうつもりだ 確かに 泉田はさっきの平坦区間では」



    手嶋「(銅橋にまかせて一度も前を引かなかった!!) 作戦かよ」
    1 (12)

    ◎箱根学園の“狙い”とは…!?



    泉田「いやぁ ボクは3年だからね

    最後のインターハイだし山の景色を堪能しようと思ってね」



    ビクン ビクン
    1 (13)

    泉田「アンディとフランクも喜んでいるよ」

    手嶋「…………」



    今泉(5人…)

    小野田(今年の箱根学園は5人で山を闘うのか……!!)


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    弱虫ペダル RIDE.457 『平坦道の果て』

    「山の入り口まで のこり500m!!」

    「見えたぞ先頭」

    「キタァ」

    「2チーム!! ジャージの色は2種類!!」

    ◎近づく山岳…!! 前を走るのは!?

    「箱根学園と総北だ!!」
    2 (1)

    クライマーを山へと送り届けるため熱き魂を燃やし全力で、ただ前へ…!!

    「いけー」

    「ガンバレー」

    「神奈川ファイトー」



    鏑木「ほぅるあああああ」

    銅橋「ブハァアア」
    2 (2)

    「箱根学園が前!!」

    「ハコガクが先攻してる」

    「少しうしろに総北!! 総北不利」

    「この先 敵よりなるべく いい位置でクライマーを切り離したいはずだ」

    「総北は」

    「全開で追う!!」



    鏑木「ほぅるああああ もっと回れ」

    鏑木「回れ歯車ぁ!!ほぉッほうるあああ!」
    2 (3)


    銅橋「ブオオオオオ」

    鏑木「らあああ」

    鏑木の手足がピクピク痙攣し始めている…

    鏑木「ああああ ああああ」

    鏑木、箱根学園の最後尾に並ぶ…!
    2 (4)

    新開「総北に並ばれた!」

    小野田「箱根学園の最後尾 新開くんに鏑木くんがならびました!!」

    鳴子「(鏑木!!)」

    今泉「(鏑木!!)」

    手嶋「(鏑木!!)」

    鏑木の健闘っぷりに嬉しそうな笑みを浮かべる総北メンバー


    鏑木「ギリギリなんだ…いつも総北は

    ギリギリなんだって青八木さん言ってた だから」

    鏑木「ギリギリで追いつく!! 先頭の銅橋まで!!」
    2 (5)

    さらに箱根学園の先頭に近付いていく鏑木…!

    新開「総北 更に加速します!!」


    「あと300m!!」


    「200!!」


    「100!!」
    2 (6)

    黒田・手嶋「もうすぐ山田 準備しろ!!」
    2 (7)
    2 (8)

    「0!!」
    2 (9)


    銅橋と鏑木は片手をバッと上げ後ろに合図を送る…!

    銅橋・鏑木「出ろォ!!」
    2 (10)

    銅橋・鏑木「クライマー!!」



    今泉「よくやった!!」
    2 (11)

    鳴子・手嶋「鏑木!!!」

    小野田「ありがとう!!」



    箱根学園も黒田を先頭に飛び出していく…!
    2 (12)

    「箱根学園のクライマーも出たぁ!!」

    「うおお すげえ圧」

    「ハコガクヤベェ」

    「3年黒田 葦木場」

    「2年の真波 1年新開」

    「ヤベェ」

    「強ぇえ強すぎる」

    「今年の箱根学園にはクライマーが4人もいるのか!!」



    先頭集団から離れた後方で――

    鏑木「ハッ ハッ ハッ ハッ」

    銅橋「ハァ ハァ ハァ ブハッ」



    銅橋「想像しなかったぜ オレンジ…てめェが…あのギリギリで…」

    2 (13)

    銅橋「並ぶ とはな」

    鏑木「ハハッ ったり…まえだ…」


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    弱虫ペダル RIDE.456 『銅橋正清のインターハイ』

    フラッと態勢を崩しバッとすぐ立て直す銅橋…

    ◎フラつく銅橋。その姿にチームは…!?

    黒田「ヤベ塔一郎 銅橋追いこみすぎて意識トンでるぞ」

    泉田「…………」

    銅橋「ハァ ハァ」

    意識が飛びかかりながらも嬉しそうに走る銅橋…

    黒田「おい 塔……一郎……!!」

    泉田「だからと言って止めるかい?雪成 止めないよ ボクは」

    銅橋「ラスト1km切ったァ!!」

    泉田「同じスプリンターだから わかる 彼は今 この瞬間――」

    辛そうな表情で語る泉田…

    泉田「最も充実した時間を過ごしている」
    2 (1)

    銅橋「ブハァ!!」



    黒田「(――――!!)」

    泉田「止められるわけがない……彼は

    1日目にスプリントを獲り

    2日目に平坦でチームを引き

    3日目 今日も協調を引いて今 その最後の仕事を

    全うしようとしているのだから」



    真波「………(銅橋くん――)」

    ニコッとする真波……



    過去編へ―

    今年 初夏

    泉田「今年のインターハイメンバーには2年生が2人入る

    メンバー選抜の結果で皆知ってる通りだ

    真波と銅橋だ」
    2 (2)

    「おおお!」

    泉田「ゼッケンはそれぞれ13番と15番だ」

    「なんか正反対の2人だな」

    「ホントに同じ2年なのか(笑)」

    「超天然の真波とゴリ押しの銅橋 話合うのかなー」

    「ハハハ ムリだろ」



    泉田「2人とも抱負を言ってくれ」

    二人同時に…

    真波「はーい」

    銅橋「はい 泉田さん!!」

    二人同時に…

    真波「えーとですね」

    銅橋「オレは箱根学園を」
    2 (3)

    言葉が被り、顔を見合わせる銅橋と真波……

    また二人同時に……

    真波「少しはオーダー通りに走ろうかなと」

    銅橋「オレは箱根学園を」

    また言葉が被り、顔を見合わせる銅橋と真波……



    真波「初日のいろは坂の山岳賞をとって」

    銅橋「オレは箱根学…だから一緒にしゃべり出してんじゃねーよコラ真波!!

    オレが先にしゃべる!! いいな!! ゆずれ」

    真波「あ オレだいたい言いたいこと言ったよもう」

    銅橋「何ィ!?」

    「ハハハ かみあってねーな」



    廊下を二人で歩いている銅橋と真波

    銅橋「(ふ―――― 真波山岳…か

    いつもボーとして人の話きいてねーから

    今まで あんまじっくり話したことなかったけど

    メンバーとなりゃ…同じ2年だし…少しコミュニケーションを…

    まぁ今じゃなくていいか…)」

    ガチャ

    真波「入りまーす」

    銅橋「(こいつといるといつも調子くるう 話かみ合わねェ…

    けど――――そうだな… あのことだけは別か)おい まて真波」

    振り向く真波

    銅橋「今日 練習終わったあと時間とれるか 話がある!!」
    2 (4)

    真波「バシくん…ん―― うん ホントは委員長から単位あぶないから

    プリントやれって言われてるのあるけどいいよ」

    銅橋「おう そうか よか…いいのか それ ホントに大丈夫か!」

    真波「いつものことだし…」

    銅橋「よくねェヤツじゃないのか!?」

    真波山岳 こいつは―― “インターハイ”を知ってる男だ

    真波「インターハイのこと?教えてくれ?」

    銅橋「そうだ!! 何つんだ 行って走って思ったことみたいな

    …そういうのだ 何でもいい 教えろ オレに」

    ポカーンとした顔で見ている真波…

    銅橋「オレは念願叶って晴れてメンバーになった けど

    オレはインターハイのこと何ンにも知らねェんだ」



    銅橋「去年は オレのバイクに細工して同級殴って

    部内の選抜にも出られなかった 知ってるたぁ思うがな

    そんで暴力はアレだ つんで

    裏方としてインターハイの会場に行くことも許されなかった

    知らねェんだ 実際の目で見てねェ 肌感がワカんねェんだ」

    ニコニコした表情で一言

    真波「にぎやかだよー 皆 旗ふってるし」
    2 (5)

    銅橋「そうじゃねェもっと内側の おまえならあるだろ

    こういうの注意しといた方がいいとかそういうのだ 何でもいい!!

    知りてェんだ 知っときたいんだ

    細かいことでもいい でなきゃオレは いきなりのでかいレースで

    結果 出さなきゃなんないんだ!!

    練習もやってる コミュニケーションもやってるけど

    胸にこう小さくつっかかってる」

    銅橋「オレはインターハイを恐れてる」
    2 (6)

    真剣な表情の銅橋に真波は…

    真波「楽しいよ?」

    銅橋「もっと具体的なヤツだよ!!」

    真波「楽しいよ 色々な感情があって」

    銅橋(あ!?)

    真波「喜びや悲しみ 嬉しさや苦しさ」

    銅橋(感情………)

    真波「偶然や運命だって感じる

    別れや さみしさ 悔しさ 焦りや 畏れもあって

    それでも皆全力で二度と戻らない時間をかみしめて

    同じ場所に向かって走るんだ」

    真波「たったひとつの小さなゲート―― ゴールに向かって」
    2 (7)

    黙って真波の話を聞く銅橋……

    真波「まぁ自転車レースって全部そういうものな気もするけど

    インターハイはそれが一番強い気がする

    ね 楽しそうでしょ?」



    銅橋「…………」

    真波「銅橋くんは感情豊かだからきっと存分に楽しめると思うよ」

    銅橋「(何ンだそりゃ マナミ……!!

    訳わかんねェ…けど つまり

    “おそれるな”―――― 楽しめってことかよ!! 真波!!)」



    真波「ごめーん もう一件よびだし先輩からくらってるからもういくねー」

    自転車に乗ってシャーと去っていく真波

    銅橋「ブフォア!? まてコラおい フワフワしやがって!」

    真波「(どぉ?銅橋くん きっと今――全開で楽しんでるよね!!)」

    銅橋「(ブハァ!! 真波ィ!! オレは今ァ!! 最高にいい気分だァ)」



    「神奈川――!!」

    「いけぇハコガク」



    銅橋「(さっきから意識ちょいちょいトンでる

    体中が痛くて限界だ けど そんなのどうでもいい!!)」

    銅橋「(山のふもとまで のこり) ブハァア (500m!!)」
    2 (8)

    「箱根学園15番 銅橋すげぇ」

    「速ぇぇ!!」 「でかい」

    「いけぇハコガク!!」


    銅橋「(ブハ!! 切れる もうすぐ オレの脚ぁ とまる けど

    後悔はねェ!! 1mmも!!

    最高のジャージ

    最高の舞台

    最高のオワリ方だァ!!

    そういや前に先輩 言ってたな――

    1年の終わりン時もオレは先輩たち つかまえて

    やっぱりインハイの様子聞き回ってたんだ)」



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    銅橋「何でもいいんですお願いし…」

    荒北「うっせ 声でけぇんだヨ きこえてるヨ銅橋てめェわ」

    銅橋「あっつ…すいません荒北さん」

    荒北「そいやてめェは居残り組だったな」

    銅橋「……ハイ どうしても出たいんです来年は!!インターハイに!!」

    荒北と銅橋の間に少しの沈黙…



    銅橋「インハイは部の記録帳でしか知りません…」

    ぎゅっと拳を握りしめる銅橋…

    荒北「だったらそんだけだヨ

    記録にあったこと以外は何も起こってねェ」

    銅橋「いや けど…そんな… そう すか………」

    荒北「……… ハ!! 1コだけ つっても何の参考にもなんねェけどな

    行って体験しなきゃワカンねェことだ オレもそうだった

    けど行きゃ実感するよ」

    荒北「インハイ最終日の先頭は ハンパなくキモチイイぜ マジで」
    2 (9)

    ドクンと鼓動が高まる銅橋…!



    銅橋「(本当だァ たまんねェ

    ゾクゾクするよ 荒北さん!! ふるえてる!!)」

    銅橋「(インターハイの最後のステージの先頭は

    最高にテンション上がる!!)」
    2 (10)

    またフラッとする銅橋…

    銅橋「止めねェ 決して踏み止めねェ!! 突き進む!!

    それがオレの最後のプライド!!」



    ◎闘いの喜びを噛みしめて…進む!! 次号、山までの闘いが決着する!!


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