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キングダム 第520話 『火蓋を切る

ナレーション~
緊張渦巻く〝武〟の平原・・・・。

秦趙両大軍の対峙。
空気が張り詰める中、秦軍陣形の不可解さに一同に動揺が走る・・・!!?



趙軍 左翼(三万)

趙軍 中央軍(六万)

趙軍 右翼(三万)
趙軍 計十二万




秦軍 右翼(二万五千)

秦軍 中央軍(五万八千)

秦軍 左翼(五千)
秦軍 計八万八千
1 (1)


「くそっ王翦将軍め マジでどうなってんだこの布陣は」
「飛信隊(うち)を中央軍に置くなら置くで前か せめて横に並べろよ」
「縦に並べて最後尾ってどういうことだ!」
「こっちからじゃ戦場が全く見えてねェし それに・・・」

「これじゃ俺らが李牧が恐くて隠れてるみてェじゃねェかよ!」
2 (1)


「・・・・・」
「!」
(そうか・・・)
(将軍は飛信隊(うち)を敵から隠すために最後尾に・・・)

「・・・・・」
(ってことは・・・)
羌瘣

「左側に注意を払っておいた方がいい」
「どう考えても」
「この戦いは左から動く」

「・・・その通り」
「この秦軍の全布陣・・・飛信隊(うち)の配置なんかよりも・・・」
2 (6)

「・・・・・・」

(左翼の方があまりに深刻な状況・・・!!)

 
【趙軍 本陣】

「報告 敵右翼は二万から二万五千」

 

「中央は奥に長く数を計りにくいですが恐らく五万強!」
「五万強!?」
「しっ しっかし左翼は恐らく五千程だと」



「五千!?」
「左翼はたったの五千だと!?」
金毛

(左翼が五千・・・・)
「慎重な男かと思っておりましたが 意外の大胆ですね」



李牧

「・・・・ええ」
「開戦前から〝仕掛けて〟くるとは・・・」
2 (2)

 

「・・・・・・・」
「王翦」




高台から戦場を見下ろす王翦将軍
王翦


「・・・・・・」



ナレーション~
戦はそれぞれ戦いやすい局面から始めるのが常である

そういう意味で

秦軍左翼の五千という数字は極端に少なく
明からさまな〝挑発〟的布陣
〝さっさと左翼を攻めて来い〟という王翦から李牧へのメッセージである




李牧はここで〝二択〟を迫られる形となった
李牧
「・・・・・・・」

2 (3)

ナレーション~
王翦の挑発通り秦軍左翼五千に紀彗軍で構成される右翼三万をぶつけにいくか
王翦の〝怪しい誘い〟に乗らず それ以外の所から始めるか・・・・
李牧
「・・・・・・・」

「カイネ 右翼紀彗に伝令を!」
カイネ
2 (7)

「ハッ」



カイネ

「・・・・・・・」

ナレーション~
李牧の選択は
前者であった
李牧

「全軍前進 秦左翼五千を殲滅せよと!」
カイネ

「ハハァ」


【紀彗軍】
紀彗

「行くぞ馬呈」
馬呈

「出るぞてめェら!!」
紀彗軍
「オオオオオオ」



ナレーション~

趙 右翼 紀彗軍 三万全軍前進
これが



王翦軍 対 李牧軍 開戦の号令である
【楽華隊】
伝令

「急報ー」

「趙軍 右翼およそ三万」

「全軍こちらに真っすぐ向かってきています!!」
楽華隊

「!」
「!」
「!」



【秦 左翼 楽華隊(五千)】
「くっそっやっぱりまともに来やがるぞ」

「蒙恬様・・・」

「蒙恬様」
蒙恬

「・・・・・・・」
「だったら仕方がない」
「こっちも行こーか」

2 (4)

じぃが心配そうに見る

2 (1)


じぃ

「・・・・・」

「蒙恬様」
「ご武運を!」
蒙恬

「・・・いつも通りだよ」
「また後で会おうじぃ」(ニコ)



じぃ

「・・・・・・」



「陸仙!」と矛で陸仙の行く手を阻む



陸仙

「うわっ何スか副長」



じぃ

「本体なら儂が蒙恬様の側にあって いざという時 体を盾として御身を守るべきだが」
「この老体では主力の騎馬隊の脚にはついて行けぬ」
「この無念さをお前に託すぞ 分かるな陸仙」



陸仙
「ってますよもう 矛どけなさいって」
じぃ

「陸仙お前は 力があるくせに欲が浅くひかえめで時々本気でイラッとくるが頼りになる」
陸仙

「ほめてんスか それ」
じぃ

「槍の腕とて 実はあの王賁にもひけをとらぬ!」



陸仙

「・・・・いや」
「とりますよ段違いに」
じぃ
「陸仙!」
「蒙恬様を・・・頼んだぞ!」



陸仙

「・・・分かりましたって」
「でもいい加減 いつまでも危なっかしい〝若君〟という認識は改めた方がいいスよ副長」
「三万の敵にこの楽華五千で挑ます王翦将軍の〝無茶振り〟にも蒙恬様は全く動じていない・・・」
「きっとあの人はもう大将軍達と同じ目線で戦が見えてますよ」
1 (3)

じぃ

「・・・・・・」
(そんな事は言われなくても分かっておるわ)

(分かっておるが)



蒙恬の若い頃のじぃの回想~
蒙恬が木の枝の上で遊んでいる


じぃ

「危のうございます その下はガケです!」

「死にますぞ降りて下さい蒙恬様」
(バキッ)
じぃ

「蒙恬様ー」

~回想終わり




じぃ

(どんなに成長されてもこの儂にとっては)
(いつまでもその身を心配してやまぬ〝若様〟なのだ・・・)



場面が変わり、進軍する【紀彗軍】

馬呈

「どこまで進む城主 もう半ば近くまで来たぞ」



兵士

「敵左翼はまだ最初の布陣から動いてないそうです」
馬呈

「王翦ってのはバカなのか? このまま右の前線本陣近くまで押し込んでしまうぞ」
「・・・・・・」




紀彗

「・・・全軍停止  ここでしばらく様子を見る」



兵士

「!」
紀彗

「尹圭の騎馬一千を前進させ敵の出方を探る」
兵士

「ハ!」
「全軍停止ー」
「尹圭隊はそのまま前進させろー」



伝令

「紀彗様、前方の物見より報告です!」
紀彗

「!」

馬呈

「!!」
「どうした やっと敵が動いてきたか」



伝令
「いっ、いえそれが」
「敵の左翼五千が いつの間にか半分程になっていると・・・!」
紀彗と馬呈

「半分!?」

2 (5)
紀彗

「・・・・・」



馬呈

「・・・・・んじゃー消えた半分はどこにいたっつー話になるよなー」
紀彗

「・・・」

「!?」



紀彗が視界の右方に馬隊を見つける
馬隊の群れは進路を変えて
紀彗軍へ向かっていた
1 (4)


紀彗

「・・・あそこだ」
馬呈

「あ″っ!?」



趙軍は混乱していた
「!?」
「何だあの騎馬隊は」

「てっ敵か!?」
「だが何の警報も届いてないぞ!」

「えっ、く、来るぞっ!」
「バカ者! 敵だっ!」

「弓兵!」
「間に合わん」
「盾構えェィ!」



「オッ」
「オオオ!」



楽華隊が趙軍の歩兵隊に切り込む
趙軍
「ぶっ」
「ぎはァっ」
「!?」
「ぐわあァっ」
1 (5)

「あ″っ」
「ぶぉっ」
「ギャッ」
「っ・・・」
「くっ ひるむな」




伝令

「急報 右より敵騎馬出現! 右軍が攻撃を受けております!!」
馬呈

「見えてるっつんだよバカヤロォ」



紀彗

「・・・」

「右軍は今すぐ右向きに陣を布け!」



兵士

「ハ!」



紀彗

「黄角の騎馬二千を出して敵の背後に回らせよ」
「入って来た敵を一騎も残さず討ち取れ!」
兵士

「ハハ!」
1 (6)

場面が変わり、【楽華隊】
兵士

「蒙恬様」
「読み通り 敵の騎馬が出てきましたっ!」
「回り込む気です」
蒙恬

「よし、ここまでだ」
「離脱するぞ」




兵士

「ハッ!」
【黄角隊】

兵士

「黄角様、敵の騎馬が逃げていきます」



黄角

「ほーう」
「なかなか勘が鋭いな」
「だがここまで来て我ら離眼騎兵の脚から逃げられると思うなよ」
「背をうつぞお前達ィ」




兵士

「オオ」
【楽華隊】
兵士

「蒙恬様 敵騎馬隊が追って来てます」
蒙恬

「飛ばすぞ!」




兵士

「ハハア」
秦兵

「張呂 何やってる追いつかれるぞ!」



張呂

「うっうるせェっ・・・」
「〝引き離さない程度に〟逃げるってのが一番難しいんだよ」



黄角

「ん!?」



別の騎馬隊が黄角隊を左側から襲う
黄角隊

「何っ!?」
1 (7)

「ぐわァっ左にも敵がいるぞォ」
「ギャア」


蒙恬

「〝狩り場〟へようこそ」




楽華隊

「旋回しろ奴らを殲滅する!」

「オオ!」

1 (8)

ナレーション~
寡兵の不利を越え、光速の機動で紀彗軍を翻弄する蒙恬。
戦の主導権を奪うのはどちらか!!?