#キングダム

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    キングダム 第535話 『格不足』

    遼陽の戦い。激しく刃をぶつけ合うバジオウと犬戎の間にも、静かに夕闇が訪れ・・・!?



    犬戎:日没だ。帰るぞ兄者。

    犬戎:腹へった。

    犬戎:その面・・・覚えておくぞ。

    壁:やっと退がったか・・・。

    大丈夫ですか壁様

    壁:ああ。急いで死傷者の数を調べろ。

    フィゴ王:初日から派手に死んだのー死王。血の原にたたずむ貴様の姿はいつ見ても・・・


    楊端和:フィゴ王よ。私に話しかけるな。今は機嫌が悪い。




    夜は静かなんだな。戦争って・・・

    お父ーお腹すいたー

    ボクもー

    明日また配給がある。我慢して寝なさい。

    はーい。

    おなかへったー。

    摩論:お待たせしましたお頭。雌馬のホホ肉 摩論風香辛焼きです。戦では好きなだけ馬肉にありつけるのがいいですね。趙王都圏の馬の味はいかがなものか。

    オギコ:いただきまーす。

    摩論:お頭が先ですオギコ

    オギコ:あいた。

    雷土:俺らにもあやからせろ摩論。

    摩論:おや雷土さん黒桜さん。

    摩論:わざわざ反対側にそちらにも軍馬は転がっているでしょーに。

    雷土:肉はあっても料理する奴がいねー。

    摩論:一応黒桜さんが。

    雷土:こいつの料理食うくらいなら生肉食った方がマシだ。

    黒桜:お前マジでいつか殺すからな雷土。

    桓騎:雷土、お前側の方は日暮れまで大変そうだったなー。

    雷土:大変なんてもんじゃねーよ。次っから次にひっきりなしに奴ら出てきやがって。く、うめーな。やっぱ摩論、お前の味つけは。

    摩論:ありがとうございます。

    黒桜:リン玉は何でこんなにバカ寝してんだ。

    摩論:こちら側で大車輪のご活躍でしたので・・・。酷使ともいいますが。

    桓騎:で初日やった感じどうだった。

    雷土:正直やれなくはねェ。向こうはワラワラとわいて出てくるが、横の連携・・・的なもんがねェから個別に討ててやりやすい。

    黒桜:連携してくると多少厄介だけど、こっちにはまだゼノウ一家ら隠し玉が残ってる。

    雷土:ただし、これにもし李牧やら何やらのでけェ軍が来ちまったらマジで一たまりもねェ。


    摩論:そこは間違いないかと。オギコさん食べすぎです。

    雷土:王翦の戦場がどうなってんのか報告は?

    桓騎:フッ。イチイチ入ってくるわけねェだろ。気にしィだなお前雷土。

    摩論:たしかに・・・時々雷土さんは気が大きいのか小さいのか分からない時があります。

    雷土:何だとコラァ。


    朱海平原 秦軍右翼 玉鳳隊 本陣

    まっ麻鉱将軍が討たれただとォ!?

    しっしかもりっ・・・李牧本人に討ち取られたなどと左翼で一体何が起こったのだ!?

    関常:し信じられぬ。あの麻鉱様が討たれるなどと・・・李牧とは一体どれ程の・・・

    それでは将 麻鉱が討たれ、左翼はそのまま敗退したということか?

    い・・・いえそれが報告では左翼は敗退せず、何とか初日を耐えしのんだと。

    なっ何っ!?

    何でも・・・楽華隊の蒙恬が麻鉱軍を率いてもちこたえさせたと・・・。

    なっ

    もっ蒙恬が・・・

    と言っても左翼が虫の息なのは変わりない。王翦様は早くも窮地に立たされましたね隊長。


    関常:ああ。初日は明らかに左に策を設けて仕掛けたが、逆にそこで李牧にしてやられた。
    おまけに失ったのは左腕とまで言われた第二将 麻鉱。
    王翦様が精神的にくらった傷は大変なものだ。


    王賁:お前に王翦の何が分かる関常。
    誰が死のうがあの人にとっては駒の一つを失ったにすぎぬ。
    左翼の将という駒を失ったなら補完するだけだ。
    そのために中央軍にはまだ多くの将校をとどめている。下手な感情を一切持たぬという強み。
    何が起ころうとその中で冷静に策を組み重ねて勝つために戦略を練り上げていく。
    それが王翦だ。そう簡単に崩れはせぬ!

    関常:そんなことは分かってますよ。俺が言いたいのは・・・左翼の立て直しはとてつもなく難しいってことだ。相手はあの紀彗とかいう

    関常。賁様は王翦様に任せておけば大丈夫だとおっしゃっているのだ。

    関常:だといいですけどね。

    秦軍 左翼 楽華隊 本陣

    信:落馬して頭打って気絶してたってダッサー。

    コラ貴様 蒙恬様に向かって

    蒙恬:ハハいいよじィ。本当に間抜けだった。

    たまに抜けてるんだよなー蒙恬様。

    蒙恬:うるさいよ陸仙。

    信:あ。


    麻鉱軍の将校:今日の我らへの指揮 真に見事であった。我々は間違いなくお前に救われた蒙恬。心から感謝する。

    信・河了貂:麻鉱軍の将校達・・・

    蒙恬:でも麻鉱将軍が「生きてる」ってだまして戦わせちゃって兵達怒ってないの?

    麻鉱軍の将校:大丈夫だ。うちは上下関係が強烈だ。
    文句を言った奴は鉄拳制裁でしずめた。冗談だ。
    あの状況で軍の息を継ぎ止めた指揮官に誰が文句を言うものか。


    明日以降で麻鉱様の仇を必ず討つと皆が等しく士気を高めているところだ。

    信:でも明日からどうやって戦うんだ?あんたらの軍には大将もいなけりゃ参謀もいねーんだろ。

    麻鉱軍の将校:王翦様がここに何らかの手を加えられることは間違いない。

    今日は何とかもったがこのままでは明日は戦えぬ。今晩中に軍編制をやり戦略を組み立てねば。

    中央軍にはまだ田里弥様・倉央様という将軍がおられる。
    そのどちらかが間もなく到着され準備にとりかかるはずだ。

    信:へー。俺はいっそ蒙恬がそのまま指揮をとってもいーと思うけどなー。

    蒙恬:それは無理だ。
    今日はたまたまうまくいったが、この大軍を実戦で率いるにはあまりに俺は経験不足だ。
    しかも勝手を知らない麻鉱軍だ。そんな危うい軍で叩ける程、相対す紀彗軍は易くない!

    本陣はここかー。中央本営王翦様より伝令であァる。

    信:さっそく来たな。


    伝令:王翦様の言葉をそのまま伝える。
    麻鉱将軍を失った中で総崩れとならず、踏みとどまった左翼の奮闘を心から称える。
    特に途中から指揮をとり導いた蒙恬に心から感謝する。
    だが、五千将の身でこれ以上この大戦の指揮を取るには「格」不足である。
    この左翼の戦いは右翼と共にこの朱海平原の勝敗そのものに直結する程重要だ。
    よってこの左の異常事態に対し、総大将の特別権利を発動し、
    この戦の期間中に限り蒙恬を「将軍」の位へ格上げし、左翼の全権限を与えることとする!!

    信:なっなァっ・・・将軍にィィ 何ィィィ

    秦軍 中央軍 本陣

    宜しいのですが左翼。

    王翦:ああ。若いが蒙恬は私と李牧の間に割って入る程、戦が見えておる。

    何と・・・

    王翦:それに左ではない。明日以降火がつくのは右翼だ!


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    キングダム 第534話 『日没まで』

    絶体絶命の秦軍左翼。だが、蒙恬の仕掛けで瀕死の麻鉱軍は見事に蘇生。反転なるか・・・!?

    すっすごい。兵達がっ・・・復活したっ!!
    1

    やった。

    やったぞ。

    蒙恬:喜ぶには早い!今はただ最低限の準備ができただけだ。麻鉱軍がまだ死線上にいることには変わりない。
    丁陽殿、中央で動かせる隊を見極め、早急に左右の拠点の援軍に送るように。
    2

    拠点に・・・援軍・・・

    蒙恬:左右へ送る兵数はできるだけ均等に。ただし兵種は右の飛信隊の拠点へ騎馬を多く送るように。

    河了貂:飛信隊の方へ騎馬を多く。



    蒙恬:士気が戻っても正しい軍略の下で兵を動かさねば意味はない。日没まで麻鉱軍が生きていられるかはその「軍略」にかかっている。躊躇も失敗も許されない。
    ここからが本陣の本当の戦いだ。
    3



    馬呈さん、秦軍の奴ら急に士気が戻りやがったぜ。伝者が飛ばしてる檄のせいだって報告が。

    報告。東水隊も動けるぞ。すぐに援軍に。左右の振り分けは任せる。ちょっと待て蒙恬。まだ中央から援軍を送るのか!?い いい加減本陣前が薄くなってきているぞ。

    わっ分かっているのかこの本陣の真正面にはあの・・・・・・

    蒙恬:ああ。馬呈の本隊がいる。今この戦場で何よりも注視しないといけないのがあの馬呈の動きだ。馬呈の強部隊とだけはまともにやり合ってはダメだ。もしあれに狙われたら、それなりの戦力を固めておかないと対処できない。

    だっだからその馬呈がこの本陣目がけて攻撃してきたらここは一撃の下に・・・・・・

    河了貂:いや馬呈は本陣には来ないよ。

    な何!?

    蒙恬:俺がやろうとしてることが分かってきたかい河了貂。

    河了貂:うん少しずつ・・・。さっき気付いたけど、楽華隊の本隊は入ってきてなかったんだね。

    蒙恬:当然。麻鉱兵が奮気出来なかったら一緒に流れにのまれて死ぬだけだったからね。

    河了貂:左に画してるから。左が陸仙で右が飛信隊なの?

    蒙恬:そーそー。弟が言ってた通り気付きが早いな。

    河了貂:いやその前に入ってくる時にそこまで考えてた蒙恬が怖いんだけど。

    蒙恬:フフっ

    河了貂:そしてそれとは別に・・・全くの部外者の蒙恬が何の摩擦もなく麻鉱軍本陣の指揮権を完全に手中にしていることがさらに驚愕すべきことだ・・・。
    4

    蒙恬・・・・・・あの昌平君ですらその才能の底が見えなかったと言われた男。
    5

    蒙恬:見とれるのは仕方ないけど、そろそろ馬呈が動くぞ河了貂。

    河了貂:えっ!?

    馬呈さん陳兄弟のとこも戻ったぞ。武玄十騎もそろった。こっちもだ。馬呈隊いつでも行けるっス!んでどこをぶっつぶしに?とりあえずあの薄っぺらい本陣スか?

    馬呈:バカ言え。麻鉱がいない形だけの本陣叩いて何になる。

    っつーことは奴らの反転攻勢の旗印になってるあの左右の拠点のどっちかっスね。



    馬呈:ああ・・・つぶすのはもちろん飛信隊のいる方だ!!
    6

    っしゃあ馬呈隊出るぞォ。念願の飛信隊だ。劉冬さんの弔い合戦でもあるぞ。とにかく女副長 羗瘣がいたら真っ先にぶっ殺せェ。

    あっ正面の馬呈本隊が右っ・・・飛信隊の方へ行くぞっ。

    蒙恬:思った通りだ。

    河了貂:うん。

    えっ!?

    紀彗様、馬呈隊が左の拠点をつぶしに。

    よい判断だ・・・・・・。敵は明らかにあの旗印を拠り所としている。奴ら多少援軍を送っているようだが、馬呈隊にかかれば瞬殺だ。

    うがアっ。やっべェのがこっち来てるぞ信。
    7

    信:くそっ。馬呈は俺に任せろ!ここは死守・・・

    羗瘣:じゃない。

    羗瘣!?

    羗瘣:出てくる前に言われただろう。馬呈隊が来たらまともにやり合うなって戦力差がありすぎるから。

    信:むっ

    蒙恬:旗印の役目は式回復で十分だ。あまりその場にこだわるな。

    信:じ じゃあどうすんだよ。

    羗瘣:足を使ってうまく戦う。そのために援軍は騎馬が多いんだろ。

    えっ!?

    羗瘣:とにかくあの馬呈の本隊をここから引き離せばいいんだ多分。

    ひ飛信隊達が・・・外に押し出されていくぞっ・・・。

    くっ馬呈隊もしつこく追っている。

    蒙恬:意外と器用だな。

    河了貂:羗瘣がいるから。馬呈が十分右にずれた・・・。簡単には戻って来れないよ。背を見せればもちろん飛信隊が仕掛けるから。

    蒙恬これから何を・・・

    蒙恬:持てる力全てを出し尽くす。呂多、じィへ合図だ。
    8

    合図だ!行くぞォ!!
    9


    なっ・・・

    ひっ左の森の間から騎馬の大軍がっ・・・
    10

    すっすごい数だぞ。

    河了貂:さっ三千騎!?

    蒙恬:ああ。本隊だからな。それをそのまま陸仙の拠点への援軍とする。
    11

    待ってましたよ副長。

    陸仙!

    続きの指揮はお前に任すという話だったが、まだ動けるか!?

    陸仙:もちろんっスよ。麻鉱兵の士気も戻った。それらと合わせて一気に・・・

    蒙恬:一気に前線を最大限押し戻す!押し戻してそこにこの本陣を移す。
    12

    河了貂:えっ!?全部を救うなんてできるわけがなかった・・・。

    蒙恬:行くぞっ。


    河了貂:だから蒙恬は最初から・・・麻鉱軍の左半分だけを復活させる気だったんだ。
    13


    紀彗:まずい。奴らの左半身がもし残るなら・・・
    14

    奴らは二日目以降も戦える戦力を残す形になる。この初日で奴らの息の根を止めておかねば・・・
    李牧様の危険を冒した奇襲が無駄になってしまう。
    15

    出るぞ者共。あの右の軍を叩きつぶす!!

    蒙恬。敵の本陣が。おっ下りて来た。こっちに来るぞっ。
    16

    河了貂:紀彗だよ蒙恬!

    蒙恬:分かってる。楽華隊を前に出す!田隼、じィと陸仙に伝えて陣形を組ませろ。
    17

    ハ!

    もっ蒙恬!

    河了貂:蒙恬・・・

    蒙恬:好きじゃないんだけどなこーゆーの。日没までか・・・・・・。


    趙軍 中央軍本陣

    金毛:李牧様し・・・しばしご中断を。その明日の盤面・・・どうやら前提からやり直さねばならぬ羽目に・・・
    18

    李牧:一体どういう意味です
    19


    金毛:ハ それが・・・紀彗からの報告では、「失敗」したと。

    信:おーい。いたぞー。
    20

    蒙恬:ん・・・信・・・?

    信:オス。

    もっ・・・蒙恬様ァ。
    21

    蒙恬:あれ?紀彗軍は?

    信:あーさっきやっと退きやがった。アホみてェにしつこかったぜ。あ それで蒙恬、多分なお前が思ってた以上に麻鉱軍残ったぞ。
    22

    蒙恬:あっそ。


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    キングダム 第533話 『失われた士気』

    李牧の刃により麻鉱を討たれた将亡き本陣。残された指揮官達に、もはや戦意はなく・・・!?

    <麻鉱軍本陣>

    もはや敵の勢いを止められませぬ。

    優隊が本陣の指示をあおいでいます。丙丸隊もです。

    もっもう少し早くお退がりを。

    敵が近づいて来ています。

    馬春殿、虎左殿討ち死にです。
    1

    丁陽殿っ高順殿でもいい。早く全軍に指示を・・・!

    麻鉱様・・・

    丁陽殿、しっかりしてくれ今は・・・

    あれが本陣だぞ。つぶせェ。

    まっまずい丁陽様を後ろへ。

    あっ

    楽華隊蒙恬、なぜここに・・・それに後ろのお前は・・・
    2

    我呂:マジでここが本陣かよ。あっちよりやられちまうとこだったぞ。

    信:ムダ口叩くな我呂。しっかり守れ。

    蒙恬:今の軍の指揮官は!?

    丁陽殿と高順殿だ。

    蒙恬:丁陽殿、今の戦況は!?

    丁陽:麻鉱様が・・・李牧に討たれた。我々は・・・将を失った・・・
    3

    蒙恬:そんなことを聞いているんじゃない。どう対処してるかって聞いてるんだ。何もしていないのか・・・本陣は・・・・・・分かってるのか。お前達が兵を動かさないから精強な麻鉱兵が刻々と無残に殺られているんだぞ。
    4

    しっ仕方がないのだ。麻鉱様と共に作戦参謀達も全員殺られてしまった。

    蒙恬:参謀達も・・・やはりそうだったか・・・・・・

    それに何もしなかったわけではない。

    手は打とうとしたが・・・どれもこれも敵の流れに抗えなかったのだ。

    もう・・・何もかも手遅れだ・・・軍の崩壊点はとっくに過ぎてしまった・・・・・・

    河了貂:その通り・・・

    蒙恬:いや、俺はまだ過ぎていないと思う。

    河了貂:えっ。な・・・何言ってるの蒙恬。ざっ残念だけど手遅れだよもう麻鉱軍には立て直せるだけの兵が単純に残っていない・・・!

    蒙恬:ふつうの軍で考えるならな。

    河了貂:えっ?

    蒙恬:遊軍としてこの軍の戦いぶりを外から見てすぐに分かった。麻鉱軍は練兵に練兵を重ね、個の力を鍛えに鍛えあげた兵団だとな。麻鉱兵は強い。
    5

    当然だ。我らは王翦軍内最強の自負がある。

    蒙恬:ならば今すぐその個の力が復活すればまだ首の皮一枚の望みはあると思う。

    信:個の力を復活!?

    ど、どうやって・・・一体

    蒙恬:失われた士気の回復。
    6

    河了貂:あっ

    蒙恬:全てはそこにかかっている



    本陣は本当はこれを最初にしなくちゃいけなかったんだ

    全麻鉱兵聞けェイ

    麻鉱様は存命である!繰り返す麻鉱様は存命である!!
    7

    えっ!?

    麻鉱様が・・・生きてる!?

    それこそ虚報だ。麻鉱は間違いなく李牧様に討ち取られた。

    虚報ではない。たしかに本陣は李牧に急襲され、麻鉱様は深手を負った。

    だが先程息を吹き返されたぞ。

    嘘だ。麻鉱の首が飛ぶのを俺は見たぞ。

    麻鉱様は存命である。繰り返す。麻鉱様は存命であるぞォ。

    だまれホラ吹きがっ

    え・・・ど・・・どっちが本当だ・・・!?

    信:味方に嘘を流すのか・・・・・・

    蒙恬:今は必要なことだ。

    信:あ あれだけで士気が戻るのか!?

    蒙恬:無理だ。だが、真偽を確かめるため顔を上げ、周囲に目を向ける。そこでお前達の働きが必要になるんだ信。
    8

    丁陽殿、左右で一番多く生き残っている隊がどこか分かるか!?丁陽殿

    右だと珉隊。左では黒里隊だ。二隊ともこの逆流の中で武勇を見せている!

    蒙恬:かも知れぬが、今はそこの敵が最も弱いと考える。その両点が狙い目だ。

    信、陸仙 ここから二隊の武の力に頼らざるをえない。
    9

    この大いなる趙の濁流に対し抗う拠点を作ってくれ
    10


    ぐっ・・・蒙恬 簡単に言いやがって。とんでもねェぞこの流れに逆らって戦うのは。

    くそ。んなことなら竜川の馬鹿力達を連れてくりゃよかった。

    全くだ。

    オラァ死ねェ。

    信:ドるア

    河了貂:信・・・・・・


    蒙恬:今は拠り所が必要だ。何としてもその激流の中に、楽華のでもなく「麻鉱の旗」をかかげてくれ。
    11

    さっ左右の旗の周りが・・・敵の勢いが弱くなってないか!?こちらが繰り返してるのか!?

    蒙恬:まだだ!まだ半信半疑だ!!最後の言葉で皆に火をつける。

    えっ!?

    蒙恬:次の言葉で麻鉱兵を復活させるんだ。
    12

    馬呈様、左右に旗をかかげた敵の拠点が!

    バカが。とっとと叩き潰せ。

    うがあァ。メチャクチャ寄って来てんぞ。あたり前だ。こんなに分かりやすい「的」が他にあるかよ。

    河了貂:ああっみんながっ。伝令まだなの。拠点がつぶされるよ。

    陸仙達もやばいぞ。

    いっ今全力で戦ってる。

    麻鉱兵聞けッ。聞けッ。
    13

    そ・・・それで何を皆に伝えるのだ蒙恬・・・・・・

    蒙恬:あんたら麻鉱兵にしか分からない言葉だ。

    河了貂:え!?麻鉱兵にしか分からない言葉!?

    蒙恬:麻鉱と共に練兵に明け暮れた日々の中で麻鉱があんたらに一番多くかけた言葉だ。それを皆に伝えてもらいたい。思い出せるか?

    お、思い出せるかだと・・・・・・と・・・当然だ。げ・・・限界にきた時、麻鉱様が我々に必ずかけていた言葉は・・・簡単な・・・この二言だ・・・立って戦え
    14

    繰り返す。麻鉱様より全兵士への言葉だ。立って戦え!!
    15

    麻鉱様生きてらっしゃる。麻鉱様。

    立って戦えェェ
    17

    ウオオオオオオオ
    紀彗:何っ!?
    16


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    キングダム 第532話 『信の刃

    趙軍の間を潜り抜け、信が走る・・・!!!
    1

    オオ

    バカ。今は旗をあげんなよ。

    よォし秦軍はひるんでいる!我らも前進するぞォ!!

    オオ

    行けェ

    殺せェ

    皆殺しだァ

    うっわー。一歩的なながれになったなこりゃー。

    当たり前だ。そのために李牧様は危険を冒されたんだ。

    傅抵:危険つっても逃げんのも思ったより楽だったな。もっと死にもの狂いで追ってきて囲まれんのかと思ってたぜ。

    李牧:紀彗の挙動が鋭かったからです。麻鉱討ち死にの報を両軍共に効果的に広めて一気に攻勢に転じた。敵は麻鉱の仇どころではなくなりました。

    初日で王翦は片腕を失い、その左翼の軍も壊滅す。

    フッ王翦にとっては最悪の展開だな。

    カイネ:行きましょう李牧様。あとは紀彗軍が・・・

    カイネ:あっ・・・

    信:李牧ゥア
    2

    飛信隊!!

    ブハハバカがモタついてやがって。マジで追いついたぞ。

    河了貂:李牧ダ。こうなったら李牧だけを狙って。もう左翼がどうとか関係ない。李牧さえ討てば・・・秦軍の勝ちだ!!
    3

    カイネ:河了貂

    李牧:行きますよ!

    我呂:逃げるぞ。バカが。ここまで来て逃がすかよ。

    河了貂:討てる。こっちには今信と羗瘣がいる。追いつきさえすれば李牧を討てる!カイネ・・・

    傅抵:俺が殺っちゃいましょーか。

    李牧:無用です。脚で引き離せばいいだけの話です。
    4

    なっ・・・何ィ!?

    何だ奴らの馬の速さ・・・ぐっぐんぐん離される。

    河了貂:バ バカな。こっちも隊内最速を集めてるのに。

    傅抵:趙の騎馬の歴史なめんなよブァーカ。しかも対匈奴用の雁門馬だ。つまり中華一。
    5

    信:くうっ。汚ェぞてめェ李牧ゥ。

    傅抵:ククうける。

    カイネ:李牧様?

    李牧:大丈夫です。

    河了貂:えっ



    信:なっ・・・何のマネだ李牧。てめェっ・・・
    6
    7

    李牧:秦。あなたと初めて会った時のことはよく覚えています。王騎が死んだ年の翌年、今から七年前咸陽の宴の場です。あの時はまだ子供でしたが、さすがに今はそうは言えませんね五千将 信。

    信:当たり前だ。なめてんのかてめェ。

    李牧:あの時もそうでしたが、合従軍前、春申君との密談の場に偶然出くわした時も

    那貴:林が深くなってきてるぞ

    河了貂:分かってる!限界だ信。止まれ。この先にきっと伏兵がいる。くっ悔しいけどここまでだ!!

    信:何っ

    傅抵:おっ!?気付きやがった。

    李牧:諸事情があったとしてもいずれの時もあなたの刃は私に届きませんでした。そして今も結局最後まで、あなたの刃が私に届くことはありませんよ信
    8

    河了貂:信止まれ!!今すぐ引き返さないと危ない。

    傅抵:カイネ伏兵に合図してこっちに向かわせろ。あいつら逃げちまうぞ。

    カイネ:合図なんて必要ない。私達が肉薄されてる時点でこっちに・・・

    あっ

    奥から騎馬隊がっ!!信っ!!


    信:李牧、よく目に焼きつけとけ。これがお前の策で討たれた王騎将軍の矛!!最後の六大将軍王騎から俺が受け継いだ矛だ!!これでお前を討つ!!
    9

    李牧:王騎の矛・・・・・・

    信:三大天の首。この矛で絶対俺が取ってやるからな李牧。
    10

    お任せを

    信:それまで首を洗って待ってやがれ。

    早く逃げろバカ信。

    傅抵:きっちりとどめさしてきましょうか。

    李牧:止めておきなさい。追い払えても、信と羗瘣の首を取るにはあの倍の兵が必要です。

    傅抵:思いの他評価高いんですねあのバカの・・・何だその沈黙は・・・

    李牧:とりあえず中央軍に戻りますよ。もはやこの戦場での秦軍左翼の光はこのまま消滅します。初日としては十二分の戦果。趙軍にとっては完璧なる初日です。

    たっ隊長我々はどうすれば。

    わっ分からん。中隊長から何の指示も・・・

    殺せェ

    も・・・戻ったら・・・さっきよりひどくなってんぞ。マジで・・・麻鉱軍終わりなんじゃねェかこれ・・・

    信:どどうすりゃいいんだこれテン

    河了貂:し・・・初日で麻鉱軍が消滅したら・・・もう全体の戦の勝敗が趙に傾いたも同じになる・・・麻鉱は生き返らないけど軍の消滅だけは避けないと・・・・・・。
    11


    で・・・でもこの戦られ方・・・すでに軍の崩壊点を超えてしまっている・・・!!もう左翼は手遅れだ!!


    娘軍師。オイ河了貂。

    蒙恬:信かっ!飛信隊!!本当に来てたのか。

    信:お前らは裏側にいたんじゃなかったか。

    蒙恬:裾にそって回って来た。お前達こそ登ってきた側と反対側になぜいるんだ。

    信:ちょっと色々あって・・・それよかお前達もあん中にいたら危なかったな。

    河了貂:李牧が自ら麻鉱を討ったんだ。あの流れはもう止められない・・・。

    蒙恬:いた止めないと、この戦そのものが負けてしまう。
    12

    え!?

    蒙恬:飛信隊も楽華隊について来てくれ。

    えっどっどこへ!?

    蒙恬:今からあの濁流の中に割って入る。

    えっ

    蒙恬:本当にここで会えて嬉しいよ信。俺達で麻鉱軍を復活させるんだ。
    13

    えっ!?


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    キングダム 第531話 『潮目

    混沌極める戦場の真っただ中に現れたのは、趙軍率いる総大将・李牧!!!


    てっ敵襲!?

    麻鉱
    こ奴は

    いかん私が麻鉱様の矛をっ・・・

    李牧・・・・・・!
    1


    まっ麻鉱様

    2

    趙軍の兵士
    やった!

    傅抵
    さっさと退散っと

    麻鉱
    李牧ゥ

    カイネ
    李牧様っ!!

    り・・・李牧様・・・?

    え?李牧様が・・・て・・・敵将麻鉱を討ち取った!?

    えっ!?

    いっ一体これは・・・りっ李牧様がなぜあんな所に・・・なっ何が起こったんだ。
    きっ紀彗様・・・紀彗様っ
    3

    り・・・李牧様自ら別動隊を!?

    なっ・・・
    4

    紀彗
    本気ですか・・・

    金毛
    しかしそれは・・・

    カイネ:李牧様

    馬呈
    何かよく分かんねェが・・・大将がいきなり本陣から居なくなったらさすがにまずいんじゃねェか?

    金毛
    馬呈の言う通りです。開戦初日は本陣から全体の指示を頂かねば・・・相手はとうにあの王翦です!別動隊の働きが必要ならばこの金毛が!

    馬南慈
    ブハハハ。

    金毛
    何がおかしい馬南慈殿

    馬南慈
    そういう別動隊ではない。李牧様がおっしゃっているのは、軍を率いる敵将の首を一撃で狩る「刺客」の如き別動隊よ。
    5

    馬呈
    刺客!?

    初めてではないということか?

    傅抵
    そうなのかカイネ?

    カイネ
    もちろん初めてじゃない。北の雁門ではその戦い方で匈奴の大物を何人も討ち取られている。

    馬南慈
    正に「必殺」よ。途中から奴らは李牧様の名を聞くだけで震えておったわブハハハ

    カイネ
    だが大いに危険を伴うのも事実だ。

    李牧
    この戦いは両翼の戦いと言っても過言ではありません。
    その左右の戦いで相手に隙があれば私が介入するということだけ頭に入れておけば十分です。
    6



    金毛
    隙があれば・・・介入!?

    趙峩龍
    細かい決めごとはせぬということですか

    金毛
    ほ・・・本当に自ら独立遊軍として動かれると・・・この初日から・・・

    李牧
    王翦も初日から左右どちらかは仕掛けてくるはずです。

    馬南慈
    李牧様はそれ以上のことを仕掛けると。
    7

    李牧
    大丈夫ですよカイネ。私がそういう手を使うと知らない相手には必ず成功します。この初日で必ず。
    8

    決して覆らぬ程、大局をこちらに傾ける決定打を私が打ち込みます
    9

    麻鉱様?ま・・・麻鉱様ァ

    ま間違いない・・・李牧様が麻鉱を討ち取った・・・麻鉱を討ち取ったぞォ


    何だこの喚声・・・どよめきは

    正面の方からだ

    紀彗
    何という人か・・・これが趙三大天 李牧か

    傅抵
    何やってんスか行きますよ李牧様

    李牧
    後は頼みますよ紀彗
    10

    紀彗
    お任せを!!全部隊全兵士にまで伝えよ。趙軍総大将李牧が御自ら秦軍左翼の将 麻鉱を討ち取った!!繰り返す!総大将李牧様が秦左翼の将麻鉱の首を討ち取ったぞォー!!
    11

    オオ 全部隊へ伝令だ 走れェ オオ

    聞けェ 敵将麻鉱を討ち取った!! 麻鉱を討ち取ったぞォ

    麻鉱様がっ!? バカな 虚報に決まっている 惑わされるな

    い・・・いやちょっと待て

    どうした

    麻鉱様の本陣に・・・異変が・・・逃げていく敵影も・・・

    何ィ

    敵将麻鉱を討ち取った。紀彗兵は反撃に転じろォ。紀彗軍前進せよ。敵は将を失ったぞ。押し返せェっ。オオオ。

    秦将麻鉱を討ち取ったのは我らが総大将李牧様だァ。

    三大天李牧様が秦将麻鉱を討ち取ったぞォ


    な・・・・・・李牧!?
    12

    らしいぞ秦軍てめェらは終わりだっ


    邪魔だどけェ

    信どこへ行くっ

    オオ 追い落とせ 秦兵を殺せっ

    蒙恬様、麻鉱将軍が討ち取られたと・・・李牧が討ったと・・・!?

    バカなどうして李牧が出る。虚報だ。しかし敵側のこの異常な士気の上がり方は・・・

    蒙恬
    表側で何か起こったことは間違いないが・・・本当に麻鉱が李牧に討ち取られたのなら・・・この戦は・・・
    13

    紀彗
    馬呈軍を前に出せェ!!

    馬呈
    マジで麻鉱取っちまったのかよ李牧は。ったく王翦王翦と皆ピリついてたが何のことはねェ。こっちの大将が一番やべェ奴じゃねェかよ。

    ヤロォ共、かったりィ守備はここまでだ。殺って殺って殺りまくれェ

    オオオ



    嘘のような逆流現象であった。将麻鉱の不法が広まると同時に文字通り潮目が変わったのだ。その流れは、もはや何者も止められるものではないことは誰の目にも明らかであった。
    14

    こ・・・・・・これは。さっきと・・・入ってくる前とは全く反対の・・・・・・


    マジかよ。てめェ・・・李牧!!

    どどうんだッ河了貂。こっこの状況で俺達はどうすりゃ。
    紀彗をこのまま討ちに行くのか。で・・・できんのかこの流れで。

    河了貂
    待って。今考えてる。
    15

    羗瘣

    河了貂
    へっ。あっ信!?えっままさか

    我呂
    さすがバカ隊長

    河了貂
    ちょっ・・・


    李牧ゥゥア
    16




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