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ゴールデンカムイ 第127話 『本当のチタタプ』

ナレーション~

ついに到着。


網走近郊のコタン



【フチの妹ナンバー13】



アシリパ

「アイヌにとって主食だった鮭はシペ『本当の食べ物』と呼ばれ」

「川に鮭が極端に少ない年は餓死するものが出たほど重要なものだった」



「だから私達は鮭一匹を余すこと無く利用する」



「鮭の皮はチュプケレという冬靴の材料に利用した 大人の靴一足作るのに鮭4匹の皮が必要だ」

「秋に作って大切に履いてもひと冬しかもたないし 油断すると犬が食べてしまうけど」



「さて鮭を食べる準備だ」



「頭を切り落として 上顎の真ん中の氷頭という軟骨のある部分を切り取る」

「この部分を主に使う珍味な料理があるけど杉元! 何か分かるか?」



杉元

「えええ~?うそ まさかまさかぁ?あれなのぉ?」



アシリパ

「チタタプだ」



杉元

「ハイ出ましたチタタプ!!」
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杉元の声にビクッとするキロランケ、永倉、チカパシ



アシリパ

「チタタプとは本来鮭のチタタプのことを指すんだ」



杉元

「チタタプの中のチタタプ!!」



谷垣

「痛ててッつねった!!」



アシリパ

「エラを外してよく洗って血を抜く」

「エラと氷頭をチタタプする チタタプすればするほど美味しくなる」



杉元

「チタタプ言えよ夏太郎」



夏太郎

「チタタプ チタタプ」



チカパシが日本刀を持ち

「これでチタタプしてもいい?」



土方と一緒に刀でするチカパシ

土方

「チタタプ チタタプ」



永倉

(うわあ・・・)



アシリパ

「尾形~~」

尾形

「・・・・・・」



アシリパ

「みんなチタタプ言ってるぞ?」

「本当のチタタプでチタタプ言わないなら いつ言うんだ?」

「みんなと気持ちをひとつにしておこうと思ったんだが」



尾形

「チタタプ」
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アシリパ

「・・・!?」

「言った!!」



「聞いたか?いま尾形がチタタプって」



谷垣、杉元に聞くが反応がない



アシリパ

「んも~~聞いて無かったのか!?」



アシリパ

「白子を加えてさらに細かく叩き」

「最後に砕いた焼き昆布を混ぜ塩で調える」

「これが鮭のチタタプだ」

「新鮮な鮭が手に入るいまの時期しか食べられない」
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「身は串焼きにする」



「米とヒエを炊いたおかゆにイクラを入れたチポプサヨ」

「塩煮したジャガイモを潰したものにイクラを混ぜたチポロラタシケプ」



料理を味わう一同
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杉元

「柔らかくて滑らか 生臭くなくて美味い・・・これが本当のチタタプか」



アシリパ

「捕れたてだから臭みがないんだ ヒンナヒンナ」



フチの妹がみんなに串焼きを配る



キロランケ

「串焼きも脂がのってるな」


牛山

「インカラマッさんっていったかね?」

「あんたいい人いるのかい?」



チカパシが谷垣の方を見る



そして谷垣の食べていた器を取り、インカラマッに渡す



谷垣

「おい・・・」


チカパシ

「はい」とインカラマッに器を差し出す


谷垣

「何のつもりだチカパシ」


アリシパ

「女が男の家に行ってご飯を作り 男は半分食べた器を女に渡し

女が残りを食べたら婚姻が成立する」


杉元

「アイヌにとっての求婚のようなものか」


チカパシ

「本当の家族になれば?」



夏太郎

「いいねえおアツいぜ」

(ヒュゥ~~)
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谷垣

「・・・チカパシ 返しなさい」



谷垣は席を立つ



牛山

「おっと・・・・・まだ微妙な関係だったか」



インカラマッが後を追う



インカラマッ

「あの・・・谷垣ニシパ・・・」



谷垣

「川の向こうから網走監獄を見ていただろう?」



「のっぺら坊はウイルクではないと言いつつも

ウイルクかもしれないとどこかで期待してるから網走まで来たのでは?」



インカラマッ

「おっしゃるとおりです」



「孤児で放浪していた私は流れ着いた小樽でウイルクに出会いました」

「ウイルクと過ごしたその時間が美しすぎて・・・現在も囚われているのです」



「けれど私の占いでは彼と会うことは二度と無い・・・

普段の占いが当たるたび彼との運命を確信していきました」



「そうなるとなおさら会いたい想いはつのりました」



「そんな時ウイルクの死を耳にした」

「『そんなはずはない』」



「なぜなら私の占いで彼に会えないという理由は・・・」

「私が死ぬからです」



「『北海道の東で私は死ぬ・・・』 ウイクルと別れたときにそう分かっていましたから・・・」



「でも彼の死を調べていくうちに遺留品を持つという鶴見中尉に出会ったのです」

「『ウイルクは既に殺され監獄にいるのっぺら坊は金塊のありかを知るキロランケの仲間』と言っていました」



「指紋の証拠も掴んだ私は『占いの解釈が間違うこともある』と納得しました」

「ウイルクは死んでいるのだろう ならせめて忘れ形見のアシリパちゃんを無事に帰そうというのも正直な気持ちです」


酔っぱらった白石

「うんうん」



インカラマッ

「でも屈斜路湖で溺れた時・・・やっぱり やっぱり私の占いは正しかったと感じました」

「私はあの湖で死ぬ運命だった なのに・・・」



「谷垣ニシパは私の占いをくつがえしてくれた!」

「運命は変えられる!占いは絶対ではないと思い直しました」
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「メチャクチャな話で理解して頂けないかもしれませんが・・・」

「とにかく・・・今の私にはウイルクに再会できるという期待があるんです」



「でもそれは・・・!愛しい人に会いたいというものでなくて

美しい過去に囚われて旅をしていた自分にケリをつけたいから・・・」



「私は谷垣ニシパと未来へ進みたい!!」



谷垣

「俺にもまだ役目が残ってる」

「アシリパを無事にフチの元へ帰す役目が」



「時が来たら・・・俺から改めて半分食べた飯の器をインカラマッに渡す・・・!」
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中へ戻ると酔った白石が谷垣の残りを食べていた



チカパシ

「こいつ谷垣ニシパのご飯食べてるッ」

(ペチンッ)
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場面が変わり、門倉看守部長の宿舎



門倉看守部長

「典獄というのは歴代・・・福岡藩とか長州藩とかの出身者がなるもんでね つまり明治新政府の人間だ」

「いっぽう看守は地元の人間が採用される・・・」



「戦争によって北海道へ流れ着いた士族の成れの果て

屯田兵も囚人もみんな元はそんなもんよ 看守ってのは昔から典獄よりも」



「囚人たち側の人間が多かったのさ」


「俺の親父は土方さんと共に戦った旧幕府軍だった」



「犬堂典獄の指示によって毎日独房を移されるのっぺら坊が」

「再来週の新月の夜に どこの監房へ移動されているのか」
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「俺は正確に予想ができる」