#279話

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    ハイキュー!! 第280話 『コンセプト

    「アンダーは腕2本オーバーは指10本」
    「よりいっぱいのモンで支えたるねん」
    「セッターやもん」
    1

    宮侑の言葉をベンチで聞いていた理石は、
    入れるだけの安全なサーブをした事を悔やむ。

    …あんな風に
    バレーをやる人と一緒のチームに居って
    俺はなんちゅう
    中途半端をやったんや

    絶対にもう呼ばれないと思っていたのに
    その手には交代のプレート。

    監督は言う。
    世界一の奴らも同じ事をずーーっとやってたら
    世界一から引きずり下ろされる。
    「日本一にもなってへん俺らが」
    「去年を・昨日を守って明日何になれる?」

    「何かひとつでいい」
    「今日」
    「挑戦しいや」
    2

    角名と交代でサーブに入る理石。
    3

    監督の言葉を胸に、
    ドドシイッ!!
    決めた!サービスエース!!
    4

    5

    味方応援団の大歓声の中、ガッツポーズをする理石。

    烏野は流れを切るためにTOを取る。
    6

    澤村は稲荷崎の大応援団に、
    かつて烏野を「地に落ちた」と言った“もみあげのおっさん”を見る。
    全員があのおっさんなのだ、と。

    理石2回目のサーブは田中が捉えるもそのままネット際に!
    ダイレクトで叩く尾白!
    7

    あっと言う間に同点に追い付かれる烏野。

    理石3回目のサーブは、自分でも良いと思えるサーブトス。
    が、今度は澤村が正面で捉える。

    8
    それを月島が決め、「ほ…」とするやっちゃん。
    9

    ベンチに戻った理石はドキドキしながらも、自信に満ちて拳をぐっと握る。

    旭のサーブ。
    (100%)
    心の中でそう設定し、強烈なジャンプサーブ!!

    10
    が、惜しくもアウトに!
    ほっとする銀島。
    悔しがる旭。

    その攻めの姿勢に、稲荷崎応援のおじさんたちもドキッとする。

    時間いっぱいまで使う宮治のサーブ。
    旭のレシーブから影山は田中に上げる。

    ブロックに飛ぶ大耳は思う。

    レフトの5番
    エグいインナー使い

    でも
    付け焼き刃やろ?
    11

    ドドォッ

    完全に田中のスパイクを捕らえた大耳。

    木兎の弱小版に過ぎん
    12

    【止めたー!!!】

    さっきまで抜かれていたコースを見事に締めた大耳。
    烏野の背中を掴んだと思いきや
    そのままの勢いで抜き去った稲荷崎!!

    ついに逆転されてしまった烏野!

    稲荷崎13点目でコートチェンジ。

    解説では、
    理石のサーブをきっかけに
    稲荷崎がグンと加速したように見える、と。
    強気のサーブは威力があるのは勿論
    相手に圧力を与え更に味方を勢い付ける。

    条善寺の穴原監督は思う。
    稲荷崎は不安定さが残るチーム…
    個々の実力は高いが
    上手く噛み合わなかたり
    “攻め”の姿勢が裏目に出たり

    でもその逆がある事が
    「最強の挑戦者」と呼ばれる所以

    全国2位という結果がその証明

    これ以上ノせると辛いぞ…!
    13


    宮治の2回目のサーブ。

    稲荷崎のみんなは思っている。

    全国2位が何やねん
    2位?3位やったっけ?
    どっちでもええわ
    昨日のことや

    “昨日”はもう消化した

    “たくさんの昨日”はもう筋肉になっとる。

    旭のレシーブが乱れて、田中が影山にアンダーで上げる。
    宮侑を狙って影山がスパイク。

    宮侑のレシーブを宮治がセット。


    今日 何をする?
    14

    瞬時の二人のアイコンタクト!

    双子速攻 マイナス・テンポ

    “裏”!!!

    パパアンッ!

    月島も反応出来ずに、宮侑のスパイクは烏野コートに刺さる!!
    15

    「ーー何コレ…」
    呆然とするやっちゃん。

    直後に割れんばかりの稲荷崎応援団の大歓声!!

    昨日を守って
    明日何になれる?

    稲荷崎の横断幕。

    【思い出なんかいらん】
    16



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    ハイキュー!! 第279話 『愛

    尾白アランによる宮兄弟の回想。

    小学5年のアランはすでに恵まれた体格だった。

    元全日本セッターの犬畑昌彦さんのジュニアバレーボール教室に参加したアラン。

    「でかい」
    「でかいな」

    そんな声にはもう慣れっこだった。
    が、いつもと違う
    「かっこええな…!」
    「ええな」という背後からの声に振り向いてみると、
    「横文字の名前…!!」
    1

    羨望の眼差しでそう呟いたのは、1つ下の宮兄弟だった。

    (そっちかい)
    アラン、心のツッ込み。

    改名しようかな、
    バアちゃんが悲しむ、と真剣に話す宮兄弟に
    (アホか)と背を向けるアラン。

    宮兄弟の話はまだ続く。
    「…!サム…!!」
    「オサムのサム…!!」
    侑の閃きに、
    「じゃあ侑はツムか」と治。

    (いやツムは変やろ)
    さらなるアランの心のツッ込みだったが、
    「!かっこええな…!」と目を輝かせる侑。


    「なんでやねん!!」
    思わず振り向いて大声でツッ込むアラン。

    突然のことに、ビクッと驚く宮兄弟。


    宮兄弟
    その名前が有名になってくるより前から俺は双子を知っとった
    2

    教室が始まり、犬畑さんの説明中、
    アランの後ろに座っている宮兄弟は、
    「セッターか~スパイカー見たかったな」とひそひそ話。

    (失礼な双子やな)
    と心でツッ込み続けるアラン。

    治は侑に、「アホやな」と話す。
    「セッターは一番上手い奴がやるクールなポジションなんやで」

    だが、侑に
    「じゃあサム セッターがええの?」と聞かれるも、
    「いやスパイク打ちたい」とアッサリ。

    (じゃあ何で言うたんや)とアラン。

    練習が始り、犬畑さんの上げたボールを打った侑は、
    「…なんやむっちゃ上手く打てた」
    と治に話す。
    「な」
    と治も同意。

    「ビビらんと入っといで」
    「おっちゃんが打たしたる!」
    3

    ふわっとボールを投げる犬畑さん。
    ボッ
    上手くスパイクを決める少年。

    それを見て侑は思った。

    打たしたる

    「………セッター…」
    「かっこエエな…!」

    季節は巡り、宮兄弟は中学生に。
    稲荷崎グループの合同合宿で宮兄弟と再会したアラン。

    双子は「上手い」
    よりか「強い」感じで
    闘争心が人一倍旺盛

    どちらかと言えば
    治の方が一枚上手で
    「治に挑む侑」がよくある構図。
    4

    ある日、監督から「セッターやってみ」と指名された治。

    「セッターは一番上手い奴がやるポジションやし しゃあないなー」と治。
    「うぐぬ~~!!」と悔しがる治。

    治も侑も負けず嫌いやったけど

    一人思案しながら黙々とトスの練習をする侑。

    侑の方は“負けず嫌い”で収まらない何かがあるような気がした
    5

    しばらくして、
    「えーじゃあ今日」
    「セッターに侑」

    目を見開く侑。
    治は
    「侑知っとるか?色んなポジションやった方が上手くなんねんで」と言い、
    「黙って悔しがれクソサム!!」
    とキレる侑。

    侑は見る度にセットの腕を上げとった
    とくに治とのコンビは絶品で
    「宮兄弟」は恐れられる様になっていった
    6

    試合に負けた宮兄弟の野狐(やこ)中学。
    「…俺」
    「今日めっちゃ調子良かってん」

    「ボールが手に収まる感じ離れる感じ エエ感触で」
    「ブロックも良く見えた」
    爪の手入れをしながら、そう話す侑。

    「俺のセットに不満あった??」
    チームメイトに凄む。

    「…いや別にー」
    チームメイトの言葉に
    「じゃあ何で決められへんの??」と威圧的な侑。
    7

    チームメイトたちは侑に不満や陰口。
    それを聞いていた治。

    「ツム 嫌われとるで」
    治の言葉に、
    「…で?」と平然と食事を続ける侑。
    絶句した治は、決意する。
    「…俺は絶対お前みたいにならんと心に決めた」
    「人に優しく生きるんや」

    「何言うてんねん」と侑。

    小っこい頃から知っとる双子やったけど
    侑は時々恐いと思った

    他人に・仲間に嫌われるってしんどいやんか

    稲荷崎高校に進学した宮兄弟のある試合後…。

    「治 今日アカンかったなー!」
    調子が悪かった治。

    みんなに励まされるも…。

    「このポンコツ」と侑。

    あのセッティングでスパイク決められんポンコツは
    さっさとポジション空けえや
    8

    そう言って治に背を向ける侑。

    言葉のない治。

    銀島は
    「侑 言い方あるやろ」
    「治が一番身に染みてんねやからー」
    と治を庇う。
    が、
    銀島の横を、シュッと何かが過ぎる。

    「この」

    「暴言クソブターッ!!!!」

    ドーン!!

    治が侑に後ろから跳び蹴り!!

    驚くみんな。
    素早くスマホを取り出す角名。

    侑の胸ぐらを掴んで治は激怒!
    てめえが絶好調でも
    こっちがそうやない時も
    あんじゃろがい

    「なんかダメ」な時は
    「なんかダメ」なんじゃ
    クソボケがあ!!

    侑クンは失敗しないんですかアー!?
    ア゛ァ゛ー!?
    9

    「身も蓋も無い」とアラン。

    「ポンコツにポンコツ言うて何が悪い!!」と侑は言い返すが、
    「人格ポンコツ野郎に言われたないんじゃ!!」と治。

    「宮兄弟のけんかや!」
    もはや名物と化した喧嘩に、他の部も体育館に見物に!

    二人で職員室で叱られる…。

    傷だらけで寮のベッドで寝転ぶ二人。

    やがて
    「……… ………」
    「…ウイイレやるか?」

    「……… ………」
    「……… ………」
    「やる」

    仲直り。


    多分

    侑の一番恵まれとる点は
    体格より色んな能力より
    “治”なんやと思う

    どんなに”他人”が追いつけんスピードで突っ走ったって
    互いが互いに絶対ついてくる

    兄弟(それ)に苛立つ事もあるんやろうけど
    奴らはきっと競うだけ強くなっていく
    10

    「ユースとはやりよるなあツム」
    治の言葉に、
    「悔しがれサム!!」と苛つく侑。

    「悔しいわアホ」と治。
    だが、続けて
    「あんまり悔しいと思てへん事が」
    「悔しい」と。

    「ツムはがんばっとるからな」
    その言葉に、
    「何やねん自分ががんばってないとでも言うんちゃうやろな」と納得できない侑。

    治はさらに
    「多分がんばってる+ちょっと頭オカシイ奴が呼ばれたんとちゃうかなと思う」と。

    「ア゛!?」とキレる侑。

    「俺とお前実力は変わらんけど」
    治が言いかけて
    「いいや俺の方が」
    侑はすかさず言葉を被せるが、それをさらに遮って
    「一通り聞けや」と声が大きくなる治。

    言いたい事は…、

    「ツムの方が俺よりちょびっとだけバレーボール愛しとるからな」
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    ピーッ
    笛が鳴り、日向に替わった山口のサーブは、
    アランの手元でさらに延びる。
    12

    (イイコース…!)

    ボールはかろうじて烏野に返され、烏野のチャンスボール!

    同時多発位置攻撃!

    13
    だが、赤木が詰まりながらもレシーブ。
    宮侑がフォローに向かうも、アンダーで上げる低い位置。

    だが、宮侑は大きく踏み出し、低いボールの下にするり、と入ると、
    ふわっと見事なセットを上げる。

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    宮治のスパイクが決まり、宮侑は満足そうな笑顔に。

    15


    稲荷崎応援団の歓声の中、拍手を贈る烏養。

    …今の素晴らしいセットアップに
    会場のどれくらいが気付いただろうか

    普通ならアンダーでレフトに高く上げるであろう場面
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    苦しい体勢・状況からでもオーバーを選択し
    ブロックを
    Aパスが返った時と同じだけ
    引きつけて見せる

    これがユースのセッターか

    「アイーーーーー」
    手を合わせる宮兄弟。
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    「…ほんとよくあの体勢から上げるよねえ」と角名。
    「アンダーでいいじゃんアレは」

    角名の言葉に、宮侑は答える。
    「セッターは「セット」するんが仕事やで?」
    「適切な位置にボールをセッティングするんや」

    これに対して「…で?」と聞き返す角名。

    「アンダーは腕2本」
    「オーバーは指10本」
    「よりいっぱいのモンで支えたんねん」
    「セッターやもん」
    晴れやかに話す宮侑。
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    稲荷崎の監督も拍手。
    (これこそ宮侑)とユースの監督。

    お調子者であったり
    時に勝ち気で高圧的でありながら
    スパイカーに対して
    誰より真摯で献身的だ

    「セッターの鏡だね」と研磨。
    「でも俺には無理だからね」と牽制。

    あんな上げ辛いボールに
    あんな素早く滑り込む反応もスピードも
    あんな低い体勢で
    身体を安定させる筋力も
    さらにそこから
    ドンピシャでセットする技術も無いからね

    山口に替わりコートに入る日向。

    すると、
    「ー俺も」と影山の声。

    「ここに来れてよかった」
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