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弱虫ペダル RIDE.456 『銅橋正清のインターハイ』

フラッと態勢を崩しバッとすぐ立て直す銅橋…

◎フラつく銅橋。その姿にチームは…!?

黒田「ヤベ塔一郎 銅橋追いこみすぎて意識トンでるぞ」

泉田「…………」

銅橋「ハァ ハァ」

意識が飛びかかりながらも嬉しそうに走る銅橋…

黒田「おい 塔……一郎……!!」

泉田「だからと言って止めるかい?雪成 止めないよ ボクは」

銅橋「ラスト1km切ったァ!!」

泉田「同じスプリンターだから わかる 彼は今 この瞬間――」

辛そうな表情で語る泉田…

泉田「最も充実した時間を過ごしている」
2 (1)

銅橋「ブハァ!!」



黒田「(――――!!)」

泉田「止められるわけがない……彼は

1日目にスプリントを獲り

2日目に平坦でチームを引き

3日目 今日も協調を引いて今 その最後の仕事を

全うしようとしているのだから」



真波「………(銅橋くん――)」

ニコッとする真波……



過去編へ―

今年 初夏

泉田「今年のインターハイメンバーには2年生が2人入る

メンバー選抜の結果で皆知ってる通りだ

真波と銅橋だ」
2 (2)

「おおお!」

泉田「ゼッケンはそれぞれ13番と15番だ」

「なんか正反対の2人だな」

「ホントに同じ2年なのか(笑)」

「超天然の真波とゴリ押しの銅橋 話合うのかなー」

「ハハハ ムリだろ」



泉田「2人とも抱負を言ってくれ」

二人同時に…

真波「はーい」

銅橋「はい 泉田さん!!」

二人同時に…

真波「えーとですね」

銅橋「オレは箱根学園を」
2 (3)

言葉が被り、顔を見合わせる銅橋と真波……

また二人同時に……

真波「少しはオーダー通りに走ろうかなと」

銅橋「オレは箱根学園を」

また言葉が被り、顔を見合わせる銅橋と真波……



真波「初日のいろは坂の山岳賞をとって」

銅橋「オレは箱根学…だから一緒にしゃべり出してんじゃねーよコラ真波!!

オレが先にしゃべる!! いいな!! ゆずれ」

真波「あ オレだいたい言いたいこと言ったよもう」

銅橋「何ィ!?」

「ハハハ かみあってねーな」



廊下を二人で歩いている銅橋と真波

銅橋「(ふ―――― 真波山岳…か

いつもボーとして人の話きいてねーから

今まで あんまじっくり話したことなかったけど

メンバーとなりゃ…同じ2年だし…少しコミュニケーションを…

まぁ今じゃなくていいか…)」

ガチャ

真波「入りまーす」

銅橋「(こいつといるといつも調子くるう 話かみ合わねェ…

けど――――そうだな… あのことだけは別か)おい まて真波」

振り向く真波

銅橋「今日 練習終わったあと時間とれるか 話がある!!」
2 (4)

真波「バシくん…ん―― うん ホントは委員長から単位あぶないから

プリントやれって言われてるのあるけどいいよ」

銅橋「おう そうか よか…いいのか それ ホントに大丈夫か!」

真波「いつものことだし…」

銅橋「よくねェヤツじゃないのか!?」

真波山岳 こいつは―― “インターハイ”を知ってる男だ

真波「インターハイのこと?教えてくれ?」

銅橋「そうだ!! 何つんだ 行って走って思ったことみたいな

…そういうのだ 何でもいい 教えろ オレに」

ポカーンとした顔で見ている真波…

銅橋「オレは念願叶って晴れてメンバーになった けど

オレはインターハイのこと何ンにも知らねェんだ」



銅橋「去年は オレのバイクに細工して同級殴って

部内の選抜にも出られなかった 知ってるたぁ思うがな

そんで暴力はアレだ つんで

裏方としてインターハイの会場に行くことも許されなかった

知らねェんだ 実際の目で見てねェ 肌感がワカんねェんだ」

ニコニコした表情で一言

真波「にぎやかだよー 皆 旗ふってるし」
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銅橋「そうじゃねェもっと内側の おまえならあるだろ

こういうの注意しといた方がいいとかそういうのだ 何でもいい!!

知りてェんだ 知っときたいんだ

細かいことでもいい でなきゃオレは いきなりのでかいレースで

結果 出さなきゃなんないんだ!!

練習もやってる コミュニケーションもやってるけど

胸にこう小さくつっかかってる」

銅橋「オレはインターハイを恐れてる」
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真剣な表情の銅橋に真波は…

真波「楽しいよ?」

銅橋「もっと具体的なヤツだよ!!」

真波「楽しいよ 色々な感情があって」

銅橋(あ!?)

真波「喜びや悲しみ 嬉しさや苦しさ」

銅橋(感情………)

真波「偶然や運命だって感じる

別れや さみしさ 悔しさ 焦りや 畏れもあって

それでも皆全力で二度と戻らない時間をかみしめて

同じ場所に向かって走るんだ」

真波「たったひとつの小さなゲート―― ゴールに向かって」
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黙って真波の話を聞く銅橋……

真波「まぁ自転車レースって全部そういうものな気もするけど

インターハイはそれが一番強い気がする

ね 楽しそうでしょ?」



銅橋「…………」

真波「銅橋くんは感情豊かだからきっと存分に楽しめると思うよ」

銅橋「(何ンだそりゃ マナミ……!!

訳わかんねェ…けど つまり

“おそれるな”―――― 楽しめってことかよ!! 真波!!)」



真波「ごめーん もう一件よびだし先輩からくらってるからもういくねー」

自転車に乗ってシャーと去っていく真波

銅橋「ブフォア!? まてコラおい フワフワしやがって!」

真波「(どぉ?銅橋くん きっと今――全開で楽しんでるよね!!)」

銅橋「(ブハァ!! 真波ィ!! オレは今ァ!! 最高にいい気分だァ)」



「神奈川――!!」

「いけぇハコガク」



銅橋「(さっきから意識ちょいちょいトンでる

体中が痛くて限界だ けど そんなのどうでもいい!!)」

銅橋「(山のふもとまで のこり) ブハァア (500m!!)」
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「箱根学園15番 銅橋すげぇ」

「速ぇぇ!!」 「でかい」

「いけぇハコガク!!」


銅橋「(ブハ!! 切れる もうすぐ オレの脚ぁ とまる けど

後悔はねェ!! 1mmも!!

最高のジャージ

最高の舞台

最高のオワリ方だァ!!

そういや前に先輩 言ってたな――

1年の終わりン時もオレは先輩たち つかまえて

やっぱりインハイの様子聞き回ってたんだ)」



過去編へ―

銅橋「何でもいいんですお願いし…」

荒北「うっせ 声でけぇんだヨ きこえてるヨ銅橋てめェわ」

銅橋「あっつ…すいません荒北さん」

荒北「そいやてめェは居残り組だったな」

銅橋「……ハイ どうしても出たいんです来年は!!インターハイに!!」

荒北と銅橋の間に少しの沈黙…



銅橋「インハイは部の記録帳でしか知りません…」

ぎゅっと拳を握りしめる銅橋…

荒北「だったらそんだけだヨ

記録にあったこと以外は何も起こってねェ」

銅橋「いや けど…そんな… そう すか………」

荒北「……… ハ!! 1コだけ つっても何の参考にもなんねェけどな

行って体験しなきゃワカンねェことだ オレもそうだった

けど行きゃ実感するよ」

荒北「インハイ最終日の先頭は ハンパなくキモチイイぜ マジで」
2 (9)

ドクンと鼓動が高まる銅橋…!



銅橋「(本当だァ たまんねェ

ゾクゾクするよ 荒北さん!! ふるえてる!!)」

銅橋「(インターハイの最後のステージの先頭は

最高にテンション上がる!!)」
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またフラッとする銅橋…

銅橋「止めねェ 決して踏み止めねェ!! 突き進む!!

それがオレの最後のプライド!!」



◎闘いの喜びを噛みしめて…進む!! 次号、山までの闘いが決着する!!